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2021.05.09 19:00

ナパの山中で畑の個性を表現、ダイアモンド・クリークのワイン造り

Diamond Creekの区画ごとのワイン

「受け継いだ歴史や古木を守りながら、新しいものを取り入れ、新旧の適切なバランスを探したい」

ナパ・ヴァレーの伝説的なワイナリー「ダイアモンド・クリーク」の醸造家に就任した、グラハム・ウェメイアー(Graham Wehmeier)の言葉だ。

ダイアモンド・クリークは、ナパの幹線道路である29号線から西側の山に入り込んだ、ダイアモンド・マウンテンにある。観光客で賑わう29号線沿いのワイナリー群から少し離れ、ひっそりと、静かな敷地内には小川(クリーク)が流れ、牧歌的な風景が広がる。


静かな山の中にある「Diamond Creek Vineyards」

山で栽培されたカベルネ・ソーヴィニョン


カリフォルニア屈指のワイン産地であるナパ・ヴァレー(詳しくは過去記事参照)は、サンフランシスコの北に位置し、市内からは、ベイ・ブリッジかゴールデン・ゲート・ブリッジを渡って1時間ほどのドライブで到着する。

ナパは、ワイン史を変えたとされる1970年代の「パリ・テイスティング」をきっかけに、その名が一気に知れ渡った。なかでも、最も栽培されている黒ブドウのカベルネ・ソーヴィニョンから造られるボルドー・スタイルの赤ワインは、世界トップクラスの品質と知名度を誇る。



南北に走る2つの山脈に挟まれた細長いこの地域で、ブドウの栽培は、谷間に広がるヴァレー・フロアー(谷床の平地)だけではなく、東側と西側に位置する山のヒルサイド(山腹部)でもおこなわれている。

山の畑で育つカベルネ・ソーヴィニョンは、マウンテン・カベルネと呼ばれ、粒が小さくタンニンがしっかりした、長期熟成する赤ワインを生み出す。そのマウンテン・カベルネの代表格であり、先駆者であるのが、ダイアモンド・クリークだ。

ナパの黎明期に創設されたワイナリー


ダイアモンド・クリークは1968年、実業家のアル・ブラウンスタイン(Al Brounstein)により設立された。ブラウンスタインは、山の中にある土地を一目で気に入り、購入を決めたという。

この土地は、様々な土壌と微気候が入交じり、それらが多様な畑の個性を作り出している。ブラウンスタインは、こうした土地の個性の違いがワインの味わいを決定づけるものだと考え、特徴ごとに区画分けし、別々にワインを醸造した。区画ごとに造る単一畑のワインは当時のナパでは珍しかった。

カベルネ・ソーヴィニョンは、ボルドーの1級・2級シャトーからの挿し木を植えたものであるとされ、畑を歩いていると、1968年に植樹されたカベルネの古木を見ることができ、50年の歴史を感じる。


カベルネ・ソーヴィニョンの古木
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文=島 悠里 写真=島 悠里、ワイナリー提供

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