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2021.02.14

家族経営こそサステナブル。新設の賞に鹿児島の窯元がノミネート

PFVのメンバー家族(Photo by Michael Boudot)

世界に数多ある家族経営のワイン生産者のなかで、伝統ある12のファミリーで構成される「プリムム・ファミリエ・ヴィニ(Primum Familiae Vini、PFV)」という団体がある。メンバーは、仏ボルドー1級シャトーのムートン・ロートシルト、アルザスの老舗ヒューゲル、伊トスカーナの名門アンティノリなど、各ワイン産地を代表する、歴史ある生産者だ。

そのPFVが2021年、「Family is Sustainability(家族は持続可能性の代弁者)」賞を創設。グランプリには10万ユーロ(約1300万円)が贈られるこの賞の最終候補に、世界で評価が高い5つの家族企業をノミネートした。

今回初めてとなる賞についてPFV会長のペラン氏は、次のように説明する。

「PFVの中で私たちは、家族経営企業は地域や国の経済を支える基盤であると信じています。ノミネートされたこれらの優れた家族経営企業は、質の高い製品に加えて、社会・環境に対する責任を具現化するものです。こうした持続的な価値観は、とりわけパンデミックが猛威を振るうこの激動の時代に重要な意味を持ちます」

注目したいのは、その最終候補に、鹿児島の著名な窯元「沈壽官窯」が選ばれたことだ。沈壽官窯は、1598年以来、15世代423年に渡り、鹿児島で薩摩焼(陶器)を作り続けている。

他の最終候補は、仏バスク地方のハンドメイドの杖の生産者、伊フィレンツェの大聖堂等の金箔の製作者、ロンドンで王室御用達の許可書を授与されているホテル経営者、ベルギーの弦楽器職人だ。いずれの候補者も、その分野で国際的な名声を誇り、長きにわたり家族経営を貫き、職人技術や伝統を継承し続けている。

新設の賞だが、世界中から応募があり、日本からの応募も数多くあった。実のところ、日本酒や伝統工芸など、全国各地に職人の文化や家族経営の精神が根付く日本と、この団体との相性は良い。今後も、この賞は継続する予定で、主催のPFVも、日本の伝統的な文化に注目しており、応募を期待している。

3月に、5つの最終候補のなかから、最終的な受賞者が発表される。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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文=島悠里

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