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2021.12.26

2022年、危機的状況のファッション業界が直面する10の課題

Maskot / Getty Images

あらゆる地域の港湾で起きているサプライチェーン危機と、トラック運転手不足による陸路輸送の遅延がダブルパンチとなり、2022年のアパレル製品価格は平均で3%強の値上げが不可避になると見られる。

これは、ファッション業界の幹部や専門家220人以上を対象に、ファッションメディア「ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion:BoF)」とマッキンゼー・アンド・カンパニーが共同で実施した調査による結論だ。

さらに、今後のアパレル製品の価格について、10%を上回る値上げも考えられると答えたファッション企業の幹部も、回答者の14%にのぼった。

この調査リポートでは、原材料不足、流通の停滞、運送費の高騰という複数の要因により、インフレ圧力が高まっていると指摘されている。

加えて、中古アパレル製品の売上が伸びている点も、見逃せない要素となっている。中古の衣料品に対する需要は、右肩上がりで増えている。リサイクルされた衣料品は、現時点では、世界の繊維・織物市場に占める割合が10%未満にとどまっているものの(「テキスタイル・エクスチェンジ[Textile Exchange]」調べ)、2022年には主流アイテムの仲間入りをすると予想されている。こうした新しい「社会的意識の高いコマース」は、消費者がソーシャルサイト上で中古ファッションのラベルを誇らしげに示す傾向などにつながっている。

ファッション業界はこの2年のあいだ、不振を極めた。2020年に同業界の売上高は、前年比で20%のマイナスを記録した。マッキンゼー・グローバル・ファッション指数(McKinsey Global Fashion Index:MGFI)によると、2020年に企業価値がマイナスに転じた企業の割合は69%に達した。これに対して、2019年にこうした企業が占めていた割合は61%、さらに2011年にはわずか28%だった。

また、財務状況の悪化や、ライバル企業による買収を理由に、全企業の約7%が市場から完全に姿を消している。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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