こうした状況すべてを考慮したうえで、BoFが考える、2022年のファッション業界の行方を左右する最重要トピック10項目は以下の通りだ。
1. まだら模様に進む回復:コロナ禍に関連するショックを引きずる度合いには、消費者向け商品を扱う業界のあいだでもばらつきがあるだろう。
2. 流通は今後もボトルネックに:2021年に起きた流通網の混乱は、今後も続くとみられる。
3. 高級品市場は国内需要が頼り:旅行需要は着実に復調しているものの、国境をまたいだ観光旅行の復活は、2023年ないし2024年まで待つ必要がありそうだ。
4. ワードローブの「再起動」:2年間にわたって部屋着やスポーツウェアばかりが注目される時期が続いたことで、これとは違う新たなワードローブを求める需要が高まっている。
5. メタバースの影響:消費者がオンラインで過ごす時間が増えるにつれ、バーチャル・ファッションが新たなコミュニティを形成し、これがブランド選択に影響を与えるだろう。
6. ソーシャルショッピングが引き続き人気に:今後もソーシャルショッピングの躍進は続くはずだ。
7. 循環型産業への転換:衣料品のリサイクルは、ファッション業界が今、本腰を入れているテーマだ。今後はさらに大規模に実施されるだろう。
8. 製品パスポートの普及:複数のブランドが、消費者やパートナー企業と製品情報を共有するために「パスポート」を用いている。これはブランドにお墨付きを与えると共に、売上減少を食い止めるのにも役立つ動きだ。
9. サイバー攻撃への防御体制強化:ファッションのデジタル化がさらに高度な段階に入るなかで、サイバー攻撃に直面するリスクも高まっている。各ブランドにとって、防御の強化は急務だ。
10. 人手不足への対策:雇用市場が逼迫するなかで、有能な人材を獲得し、なおかつ流出を防ぐために、各企業は、ブランドの訴求力やファッションの華やかな魅力を武器にする必要があるだろう。