ビジネス

2021.12.21 08:00

ニュースルームの多様性が「より良いメディア」を生む理由


様々な視点や声の探求、よく調査された複雑なストーリーの提供を誇りとするメディア機関にとって、社内の多様化はなくてはならないものです。メディアが提供するニュースコンテンツは、そのサービスの提供対象である多様な社会を正確に反映したものでなければなりません。社会を反映するためには、文化、宗教、性別の異なる、様々なジャーナリストの参加が必要です。

大切なのは、異なった視点や観点を提供することだけではありません。メディア機関は、制作している多様なニュースコンテンツが、ニュースルームの文化にしっかりと反映されていることを確認する必要があります。そうしなければ、視聴者にニュースの信憑性を疑われてしまうかもしれないのです。

文化的に不適切なミスをなくす


どのような経歴を積み重ねていようと、ジャーナリストであれば誰しも、自身とは異なる視点を持つストーリーを客観的に報道する能力を十分備えているはずです。しかし、知識不足や無意識の偏見により、文化的に無神経な報道を行ってしまうジャーナリストも存在しています。

誤解しないでいただきたいのですが、あるニュースに個人的なつながりのあるジャーナリストだけがその話題について書くべきだと言いたいのではありません。しかし、ニュースコンテンツのレビューをサポートできる多様なジャーナリストチームを持つことで、報道機関のブランドを傷つけるようなミスを減らすことができるのです。

昨年、ガーディアン紙は、ワイリー氏に関する記事中でイギリスのラッパー・ケイノ氏の写真を誤って使用し、謝罪を掲載しました。ワイリー氏には当時、反ユダヤ的な発言により世間の厳しい視線が注がれていました。同紙はこれを「単純な誤り」であると主張したものの、ネット上ではニュースルームにおける多様性の欠如に関する議論が巻き起こったのです。

少数派コミュニティ出身のジャーナリストの多くは、より多様性を備えたニュースルームであれば、世に出す前にミスに気づけはずである、という見解をもっていました。

信頼獲得に貢献する


27カ国を対象としたイプソス(Ipsos)の調査によると、2014年から2019年までの5年間で、新聞・雑誌に対する国民の信頼は平均16%低下したことが分かりました。一方、模範となる独立したメディアシステムの模範とされてきた米国と英国では、印刷メディアに対する国民の信頼がそれぞれ26%、27%低下しました。

ここで重要なのは、「メディア」と「ローカルメディア」の間には大きな違いがあるということです。ローカルニュースの報道機関は、自分たちがサービスを提供しているコミュニティをよりよく知り、それを反映していることが多いため、高い信頼を獲得しています。


ニュースへの信頼度が高い国、低い国 イメージ: Statista/RISJ

今回のパンデミック(世界的大流行)を経て、メディアへの信頼がかつてないほど重要になりました。ここ数年、メディア機関は新型コロナウイルスの感染率やワクチンの取り組みについて、何十億人もの人に最新情報を提供する役割を担ってきました。
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Jeanne Bourgault, President and CEO, Internews

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