・あらゆるメディアプラットフォームが存続していくためには、ニュースルームにおける多様性の維持、包摂的なコンテンツの提供が不可欠です。
・ニュースルームと報道の在り方がより多様で包摂的であれば、社会をより良く表現することができ、視聴者の信頼を獲得し、さらには報道機関の収益性の向上へとつながります。
・ニュースルームの多様性や包摂性を積極的に優先しようとしない報道機関は、読者や視聴者と収益、その双方を失う可能性があります。
BLM(ブラック・ライブス・マター)の活動や#MeToo運動は、職場における人種の多様性とジェンダー・ダイバーシティの欠如に光を当てました。ニュースルームにおける多様性も例外ではありません。2016年のピュー研究所の分析によると、ニュースルームの従業員のうち有色人種はわずか23%。男女比で見たときの男性の割合は61%でした。
これまで私は、Internews(インターニュース社)のチーフ・エグゼクティブとして、全ての大陸を股にかけ、数多くのニュースルームを訪問してきました。全てに共通しているのは、多様な人材を確保することが、正確で報道性の高いニュースコンテンツの制作につながる、ということです。
世界がますます多様化する中、それを組織に反映させることはニュースルームに課せられた使命であり、それができないニュースルームは取り残されていくでしょう。
新たな視聴者の獲得において、従来のメディアを凌駕することも多いユーザー生成型のニュースプラットフォーム。その台頭が明確に示しているのは、多様な視聴者に対応しないことで生じるリスクです。Blavity(ブラビティ)やOutlier(アウトライアー)のような、ユーザーによるトレンド生成型のニュースプラットフォームにおける視聴者の増加傾向から分かるのは、新世代の読者・視聴者が自身の経験や視点を反映したコンテンツを求めているということです。
どのようなメディアプラットフォームであっても、存続していくためには従業員の多様性を維持し、包摂的なコンテンツを提供することが不可欠です。だからこそ私は、今でも業界内でインクルージョンが不足していることにショックを受けているのです。
しかしありがたいことに、世界経済フォーラムの報告書「Tackling Diversity and Inclusion in the Newsroom(ニュースルームにおける多様性および包摂性への取り組み)」では、ビジネスと倫理の観点からこの課題が取り上げられています。