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Bodygramの「採寸テック」が持つ可能性に注目が集まる。

スマートフォンのカメラで服を着たまま身体の正面と側面の2枚の写真を撮影するだけで、腹囲・肩幅・手足の長さなど全身24カ所の身体採寸が可能なテクノロジー「Bodygram(ボディグラム)」。アパレルをはじめ製造業の構造課題の解決や、高まる健康意識の点から注目を集めている。

3万以上の点から成る3Dボディデータから推定採寸


Bodygramはさまざまな性別、国籍の身体データを収集・加工した12万体以上のデータセットを機械学習させ、3万2000以上の点から成る3Dボディデータを生成。独自に開発したDL(ディープラーニング)により着衣の状態でもヌードボディラインを推定し、そのデータに年齢・身長・体重・性別の基本情報を掛け合わせ、ボディサイズの推定値を算出する。

創業以前のβ版では5cmほどあった採寸誤差は、2018年創業時に2cm、現在は1.5cmまでと精度を上げ、日本国内ではアパレルの「そごう・西武」他、寝具製造の「エアウィーブ」、特定保健用食品も手がける「花王」そして、協業が発表されたばかりの衛生用品メーカー「ユニ・チャーム」まで領域を横断した技術提供、実用化が進んでいる。

アプリの画面
Bodygramのアプリ画面|全身の正面と横方向をスマホで撮るだけで計測は終わる。「3Dアバター」による可視化は分かりやすく、また、定期的な計測で体型はもとより身体の内側のデータの変化を記録できるのは、健康管理、フィットネスなど、採寸以外の領域で有効なツールになりえる。


今年2月には元東京大学教授などが加わったチームにより、構想から開発までたった3カ月間で、3Dアバターでリアルに体型を表示する機能を実装。6月には体脂肪や骨格筋量などの体組成データ測定機能も付加している。体脂肪は2.5%、骨格筋量は1kgの誤差で測定が可能。

多くの分野にインパクトを与える技術


「服を買いに行くのが面倒」。2015年にシリコンバレーで誕生したeコマースのカスタムシャツブランド「Original Stitch(オリジナルスティッチ)」はそうして非接触型のオーダーメイドサービスで世界に先駆けたが、顧客の正確な採寸データの入手が当初から課題だった。個人が身体の寸法測定するのは難しく、測り方も人それぞれ。そもそも誰もがメジャーを持っているわけではない。

COOのレイの写真
レイ・アイバ◎Bodygramジャパン COO/父親が日本人で、日本語を学ぶために来日。シンプレクス・アセット・マネジメントに勤務し史上最年少で投資ディレクターとなる。2014年に創業者のジン・コー氏と出会い、ビジネスの構想を聞き、投資家となってビジネスにもジョインした。

採寸値に誤差が出ては、オーダーシャツの根幹が崩れてしまう。そこで、AIによる採寸技術を模索したのがBodygram開発の経緯だ。アメリカでオリジナルスティッチからB to B事業としてスピンアウトしたのが2019年1月。2019年5月に「ボディグラム・ジャパン」を設立。2020年、国内外複数の投資家から1700万ドル(約18億円)の資金調達を完了し、同年6月一般ユーザー向けのアプリを公開した。

日本での導入件数の伸長率は2019年12月以前と2020年1月以降の、コロナ禍以前とウィズコロナの比較でアパレル業界では533.3%、全業種で480%となっている。スマートフォン用アプリのアクティブユーザーは昨年12月から9倍増加。

ボディグラム・ジャパンのCOO、レイ・アイバは言う。「ボディサイズは情報価値が高く、アパレル業界の製品廃棄率の高さといった今日的な問題、また人的コストや在庫管理などのビジネスのソリューションになります。現在アメリカ、ヨーロッパやアジアはもちろん、中東からも問い合わせがきており、遠隔医療の活用にも注目が集まっている 。多くの分野にインパクトを与えられる技術だと自信を深めています」

文=本田賢一朗 写真=西川節子(人物)

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