ビジネス

2021.12.06 12:00

2021年、「ギアチェンジ」した日本のスタートアップの進化


21年上半期の国内スタートアップ資金調達額は、3,245億円にのぼり、半期では過去最高額を記録(INITIAL調べ)。コロナ禍の影響で一時的に落ち込んだ20年だったが、上昇トレンドが回復した。そして、海外投資家、かつ、VC以外の投資家からの大型調達事例の増加も加速している。
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SmartHRをはじめ、起業家ランキング上位企業も同様だ。2位のキャディ3位アンドパッド、5位のアタマプラスをはじめ数多い。そのほかにも、新素材を開発するスパイバーが米投資会社カーライル・グループなどから約344億円を調達。情報・ニュースアプリ開発のスマートニュースも米ヘッジファンドや米VCなどから約251億円を調達した。「著名から無名まで海外投資家が一気に参入した」のがいまだ。海外投資家からの大型の資金調達の流れにより、日本でもユニコーン企業数は10社となった(STARTUP DB調べ)。

それらのキーワードとなったのが「クロスオーバー投資家」だ。上場企業と未上場企業の両方に投資・支援をする、上場後も中長期で支える投資家の存在だ。SmartHRの調達もほとんどがクロスオーバー投資家だ。

Paidyやキャディなどに投資をした、香港の上場株ファンド、タイボーン・キャピタル・マネジメント日本株投資責任者の持田昌幸は「クロスオーバー投資家がレイトステージに参入するのは世界的トレンド。我々も競争戦略として、日本株市場を重視するなかで、未上場市場に参入した。成功事例も出始め、いい方向に歯車が回り始めている、面白い市場だ」と話す。
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同社は19年に未上場市場向けのファンドを設立しているが、数年後には数千億円程度での組成を目論む。

また、大企業のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)による複数年の投資予算枠が6,104億円という日経新聞の報道もあるなど、「大企業の投資金額は全体の半分を超えているのではないか。今後もさらに上回っていくことが予想されることから、『CVC新元年』とも言えるだろう」(グローバル・ブレインCEO百合本安彦)

ブリッツスケーリング競争時代の到来


現在、スタートアップ・シーンのトレンドは、これまでの①既存産業のDX(デジタルトランスフォーメーション)、②ディープテックによる新産業創出、③新世代によるニューカルチャー、④連続起業家の挑戦、⑤社会性と事業性を両立させるインパクト起業家、という方向性から大きく変わらない。その成長に海外マネーによる大型化という構造的変化が組み込まれた形だ。
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Forbes JAPAN編集部=文

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