I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Ali Balikci / Anadolu Agency / Getty Images

グーグルは、自社の広告エコシステム内でのサードパーティー製クッキーの廃止を約2年延期し、2023年末とすると発表した。関係する広告業界が変更に対応する時間を設けるための措置だと説明している。

この決定により、グーグルにとっての真の顧客とは誰なのか、そして誰の声を真っ先に聞き入れるのかといった同社の優先事項がはっきりした。私たちはグーグルにとって、売買の対象となる原料に過ぎないのだ。

今に始まったことではないにせよ、グーグルにとって私たちユーザーは搾取するべきリソースに過ぎず、耳を貸す存在ではないことはいらだたしいものだ。サードパーティー製クッキーの使用(特にあからさまな乱用)がユーザーの反感を買い、常に監視下に置かれているような感覚を生んでいたとしても、グーグルはそんなことは気にも留めていないのだ。

アップルやモジラ・ファウンデーション、ブレイブなどの他社が自社製ブラウザーでサードパーティー製クッキーをブロックしたり、欧州や米カリフォルニア州などが「何でもあり」の環境を生み出してきたエコシステムの規制に乗り出したりしても、グーグルは気にならないようだ。

グーグルはそれどころか、サードパーティー製クッキーの抑制につながる措置の導入を2年近く延期すると一方的に宣言してみせた。しかもその理由は、クッキーを使用する企業に面倒をかけたくないというものだ。

グーグルは甘く見ているかもしれないが、私たちは広告エコシステムの仕組みをよく理解している。サードパーティー製クッキーの廃止を先延ばしすれば、現在それを利用している企業が変化に向けた準備をすることなく、これまで通り利用を続けるだけだ。変化を強いられない限り、こうした企業は現状を維持する。グーグルは変化をもたらすことを避け、ユーザーよりも広告主の利益を優先したのだ。

もし今の世の中で良識が通用し、インターネットの仕組みについてのユーザーの理解がより深まっていれば、今回の発表はグーグルにとって深刻な結果をもたらし、数百万の人々がプライバシーに配慮したブラウザーに乗り換える事態となっていたことだろう。どんなブラウザーもクロームよりましだと主張するのは筆者が初めてではない。クロームは以前から、最悪のブラウザーとみなされている。

グーグルは、自分の首を絞める状況に陥ったようだ。サードパーティー製クッキーを排除すれば、他のデジタル広告企業の利益を損ない、同市場の独占的地位を強め、結果として世界中の反トラスト当局による法的措置や調査の対象となる可能性が高まる。逆にサードパーティー製クッキーを排除しないと、ユーザーの利益を守らずプライバシーを尊重しない悪者となる。

このジレンマに直面したグーグルは結局、弱い立場にあるユーザーの利益をないがしろにする方を選んだ。声を上げる者がいてもそれは少数派で、大半の人は反応しないだろうと見込んでのことだ。

筆者からのアドバイスは、まずクロームを捨てること。それ以外であれば好きなブラウザーを選んでよいので、とにかくクロームは使用しないように。それが、グーグルに対して私たちがただの商品ではないと悟らせる唯一の方法だ。

編集=遠藤宗生

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