「部下への心構え」は?
前項では部下に対する関わり方として、「NGな行動」の例を紹介しました。では次に、「心構えすべきこと」を考えてみましょう。
「仕事ができない部下」を持った自分を嘆くのではなく、部下に対する心構えを少し変えていくことで、部下の成長を育むことができるようになります。そのための5つのポイントを紹介します。
・仕事を任せる:部下に仕事を教える時間は、あなたの成長のための時間でもあります。教えるための準備はあなたの仕事を整理する良い機会になります。あなたが更なる上の仕事に挑戦するためには、成長した部下は不可欠な存在、すなわち強力なサポーターになります。部下に仕事を任せることで自分も成長できるとともに、組織の成長を目指すことができます。
・アイスブレークから始める:1オン1の開始には、必ずアイスブレーク(雰囲気を和ませるための手法)を取り入れましょう。コミュニケーションを取りやすい雰囲気を作り、お互いが1オン1の目的の達成に積極的に関与することができるようになります。アイスブレークには仕事以外の話、例えば美味しいお店、ファッション、スポーツや家族の話などがよいでしょう。仕事の話を真剣にするためには、仕事以外でのお互いの姿を知ることも大切です。
・相手のスペースに入る:「いつでも相談してね」と自席に座っているだけでは、部下からの相談を導き出すことは難しいでしょう。自分から部下の席に歩み寄りながら、「最近は忙しい?」とか「今、何をしているの?」などと簡単な言葉をかけるのです。これをきっかけに「実は◯◯の件を見てほしいのですが、今お時間ありますか?」と部下の相談のきっかけを作ることができます。部下も自分のスペースにいる方が、安心して話をすることができます。
・具体的な指示を:「できるだけ」、「なるべく」などの、相手の判断に任せるようなあいまいな表現は、相手の価値観、立場や職位によって受け取り方が違います。あなたが「この資料をできるだけ早く提出してほしい」と部下に依頼したとしましょう。部下は「明日まで?」、「数日以内?」と判断に迷い、予定変更や残業を伴うことになれば、部下にとってストレスになってしまいます。「明日の15時までに提出してほしい」と明確に伝えることが大切になります。
・断るチャンスを与える:上司から突然仕事を依頼されたら、忙しいことを理由に断ることができる部下は多くはありません。特に即断即決を求めがちな上司では、なおさら断ることは難しいはずです。「断われない部下」への配慮として、断るためのチャンス(時間)を与えるよう心がけてください。1日程度の猶予があれば、部下は自分の状況を整理して、依頼を引き受けられるか判断できるでしょう。
仕事への責任感を欠いている、仕事に対するやる気を感じない、このような同僚と働いた経験は多かれ少なかれ誰にでもあることです。部下とは違って、同僚を正すためのきっかけを見つけることは難しいことです。