そうした中でいま注目を集めているのが、日本の子どもたちがインターナショナルスクールの子どもたちと一緒になってラグビーやタグラグビー(年少者でも楽しめるようにタックルなどの接触プレーを排除したラグビー)を楽しむ「渋谷インターナショナルラグビークラブ(SIRC)」だ。グローバルコミュニティーの中で子どもたちの多様性が育まれると、保護者からの評判も上々だという。
クラブ設立の動機やモットーに込めた想い、子どもたちに授けたい経験などについて、設立者である徳増浩司氏に聞いた。
英語への苦手意識は払拭できる
毎週日曜日の午前中、昭和女子大学内にあるブリティッシュスクールのグラウンドで元気いっぱいに汗を流す大勢の子どもたち。下は4歳から上は18歳まで、年代によって分けられた約190名の生徒が在籍するSIRCの特徴は、なんと言っても他のクラブにはない、国際色豊かな環境にある。
SIRCのクラスは、ネイティブスピーカーのコーチたちができるだけわかりやすい英語を使って指導を行う。生徒たちの言語圏は、英語スピーカーが45%、日本語 25%、日英バイリンガル 25%、その他言語 5%(フランス語と少しの英語やドイツ語と少しの日本語など)という割合だ
通っている生徒の約4割は、日本で暮らす海外出身の子どもたち。欧米諸国からアジア圏まで、20ヵ国以上のルーツを持つ子どもたちと日本の子どもたちが一緒になってラグビーやタグラグビーを楽しむ。
加えて、指導を行うコーチ陣も半数以上が外国人だ。クラスはすべて英語で行われ、一人ひとりの個性を大切にしたコーチングを実践しながら、いろいろな国籍の子どもたちが互いにコミュニケーションできる場を提供している。
「多くの子どもたちに国籍を問わずラグビーを楽しんでもらいたい。そんな想いから設立したSIRCが掲げるモットーは、ラグビーを通じて世界中に友だちをつくること。日本だけにとどまらず、世界に羽ばたいていける人材に育ってほしいとの願いがあるからです。そのため、まずは国籍というバリアを取り払ってたくさんの友だちと仲良くなれるよう、幼い頃から英語に慣れ親しむ時間を大切にしています」(徳増氏)
当然、クラブに入った時期やもともとの会話力によって能力差が出てしまうものだが、それでも英語での指導を徹底している。幼い頃から少しでも英語でコミュニケーションを取れた経験や気持ちが通じ合う体験ができれば、英語への苦手意識を払拭できるという狙いがある。
事実、SIRCの子どもたちは、ラグビーを通じて生きた英語に触れ合うことで、自然と英語が話せるようになっていく。
ラグビーの指導にあたる徳増氏。茨城県の茗渓学園高等学校ラグビー部を全国大会優勝へと導いた名将としても知られ、ラグビーワールドカップ2019では交渉役のキーマンとして日本開催を実現させた