忙しい最中、新人がつまらないミスをすると嫌味のひとつも言いたくなる気持ちはわかるが、こちらが何の気なしに発した言葉や態度が、まだ職場に馴染めていない緊張でガチガチの新入社員には致命傷になる恐れがある。やる気を失って退職してしまうかもしれない。大人の上司なら、言ってはいけない言葉や見せてはならない態度をしっかり認識しておこう。
大学生向け時間割りアプリ「Penmark」などを展開し学生生活のDXを推進するスタートアップ、ペンマークは、同アプリを利用中の大学生と学生時代に利用していた社会人の合計585人を対象に「やる気がなくなる上司・指導者の言動」についてアンケート調査を実施した。

やる気が失せる上司の言動の第1位は「なんでこんなこともできないの?」だ。自分が新人のころは問題なくできた気でいるのか、それを言って何かが好転するとでも思っているのか、ちょっと考えてほしい。
第2位は「非言語的否定」つまり、溜息をついたり首を振ったりという態度。陰湿そのもの。第3位は「きみには無理だよ」。それを言う前に、上司ならきちんと仕事を教えろよ、という話だ。今の自分なら「部下を指導することもできないの?」と反論して「あんたには上司は無理だ」と首を横に振ってやるが、22歳だったならそんな会社に就職したことをひたすら後悔して転職サイトに登録していただろう。4位以下も心ない言動が続く。

ペンマークはこの調査から、Z世代は自身の能力や存在を否定される言動にきわめて強いストレスを感じることが明らかになったと述べている。こうした言動にはZ世代に限らず誰でも心が折れるが、個性を重んじる教育を受けてきた世代だけに、この不条理に耐えられないということのようだ。
同社は、「人格へのリスペクト」がカギを握ると話す。人として当然のことなのだが、上司になると自分が偉くなったと勘違いして部下をリスペクトしない人間がたしかにいる。もうひとつは「心理的安全性」だ。失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えること。マネジメント層には旧来の「叱咤激励」型コミュニケーションからの脱却が必要だとペンマークは訴えている。上司はメンターとしての役割をもっと自覚するべきだろう。