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イーロン・マスク(Getty Images)

ムケシュ・アンバニの名前は、聞いたことがない人が多いかもしれない。約1000億ドル(約11兆円)の資産を保有するアンバニは、アジア1位、世界では10位の大富豪だ。その資産額は最近、経営企業が安価で環境に優しい水素の生産に「積極的に」取り組むと発表しただけで、37億ドル(約4200億円)も跳ね上がった。

一方、イーロン・マスクの名前は誰もが聞いたことがあるだろう。マスクの保有資産額は2000億ドル(約22兆円)前後で、フォーブスのリアルタイム長者番付ではジェフ・ベゾスと首位の座をめぐり接戦を繰り広げている。マスクの資産の大部分は、テスラの株式だ。

私は、マスクとアンバニが世界初の「トリリオネア(保有資産額が1兆ドル以上の富豪)」になる可能性が高いとみている。その理由は、マスクの資産と、アンバニが最近享受した資産急増の共通項が、気候変動だったことにある。もっと具体的に言えば、2人の事業は将来、気候変動を大きく減速させ、その悪影響を緩和できる可能性がある。

例えばテスラの時価総額は、他の自動車企業の大半を合わせてもかなわないほどの規模になっている。2020年の新車販売台数での同社の世界シェアはわずか1%だったにもかかわらずだ。この差が生じている理由としては、市場価値とは将来の成長を見込んだものであり、気候変動対策の必要性からガソリン車が電気自動車(EV)へ置き換えられていくと投資家が予想していることがある。そうなれば、テスラは飛躍的な成長を遂げるだろう。

しかしEVは、2050年までに炭素排出量を実質ゼロにするため必要な大規模経済変革のごく一部でしかない。世界全体の炭素排出量は年間約500億トンに上る。このうち、輸送に関連するものはわずか16%ほど。自動車やトラックが占める割合はその半分(全体の8%)のみだ。テスラがこの8%の大部分を削減するのに十分な数のEVを販売したならば、資産額は1兆ドルを優に超えるだろう。

残る92%は、アンバニをはじめとする他の気候イノベーターが地球を救う画期的な商品を開発・投入する大きな機会を生んでいる。雨が降っているときに傘を販売するようなものだが、違いはその市場が膨大な世界規模のものだということだ。

編集=遠藤宗生

イーロン・マスクビリオネア環境問題

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