アンバニがグリーン水素に注力しているのは、セメントや鋼鉄の製造、トラックや船舶輸送、飛行機による輸送など、化石燃料を使った重工業には、電池を軸としたテスラのアプローチが通用しないと見込んでのことだ。投資家たちもまた、安価で炭素排出量がゼロかつ再生可能な水素燃料は、将来的に巨大市場を生むという見方を支持しているようだ。
気候分野で他のヒーローが現れ、マスクとアンバニの先を越して資産額が1兆ドルに到達する機会は十分にある。排出される炭素の大部分は画期的な解決策を必要とし、それを大規模に実現できる人は誰であれ、巨万の富を得るだろう。
以下に、筆者が共同執筆した書籍『A Brief History of a Perfect Future(完璧な未来の略史)』から、非常に大きな潜在性を秘めた分野のリストを紹介する。
エネルギー分野
・揚水発電
・蓄熱
・代替燃料(炭素排出なしに生産されたバイオ燃料や水素など)
・フルシーズン持続可能なグリッドスケール蓄電
・地熱エネルギー
・安全なモジュール式核分裂
・核分裂
炭素排出量分野
・炭素排出量ゼロのセメント
・炭素排出量ゼロの鋼鉄
・炭素排出量ゼロのプラスチック
・工場で細胞培養により生産された肉や乳製品
・炭素排出量ゼロの肥料
・Fガスを含まない冷却剤
・炭素回収