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東京ディープチャイナ

延辺朝鮮族の店の人気メニューは羊肉串。スパイスに特徴がある

ここ数年、羊肉を食べることが日本国内で広く普及し、身近な食材にもなってきている。

これまで羊肉の料理といえば、知られているのはジンギスカンくらいで、独特の臭みが気になるなど、日本ではどちらかというとマイナーな存在だった。ところが、ここ数年、羊肉料理を出す新感覚のレストランやエスニック料理の店が増えているのだ。

この羊肉ブームは、なにも食通たちが通う店だけではなく、一般向けのファミリーレストランにまで押し寄せてきている。大手外食チェーンのサイゼリヤでは、ラムの串焼き(アロスティチーニ)が2019年に商品化され、一時、原材料不足で提供を停止したものの、昨年4月に復活し、すっかり定番メニューになっているという。

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サイゼリヤの人気メニュー「ラムの串焼き(アロスティチーニ)」

スーパーでも肉売り場には羊肉の切り落としや骨付きラムチョップが置かれるようになってきた。筆者が自宅と職場周辺の5店のスーパー(イオン、ヨークマート・ヨークフーズ、西友、食品館あおば、ライフ)を訪ねたところ、うち4店で羊肉は扱われていた。

羊肉ブームの背景


羊肉を食べる、つまり「羊食」の普及というユニークなテーマを掲げ、長く活動してきた人物がいる。2012年に結成された「羊齧(ひつじかじり)協会」の代表を務める菊池一弘さんだ。

同会結成の目的は「素人がおいしく楽しく羊肉を食べられる環境を整える」ことだという。彼が配信している、同会の公式サイト「新羊社通信」によると、羊肉の消費において国産は全体の1%未満。つまり、羊肉の99%は輸入であり、日本で羊肉を食べることは、イコール輸入肉を食べることなのだ。


都内の一般スーパーでも羊肉は広く販売されている

羊肉の輸入は2015年頃より順調な伸びを見せているという。財務省貿易統計によれば、2013年の羊肉の輸入量は約1万8168トンで、2018年には約2万4154トンに増加している。

菊池さんは、その理由として以下の3点を挙げる。

1つ目は、保存技術の進歩で、羊肉独特の臭みが抑えられるようになったことだ。羊肉の輸入元は、約6割がオーストラリアで、3割がニュージーランド、残りがアイスランドやフランス、アルゼンチン、アメリカ、イギリス、ハンガリーなどだが、輸入肉でありながらも鮮度が高くなり、国産の羊肉との味の違いに多くの人が気づくようになった。

2つ目は、日本人が多様な肉の味わいを楽しむようになったことだ。「しばらく寝かせて旨味を増す熟成肉や、脂肪が少なく歯ごたえのある赤身肉、狩猟で捕獲した野生鳥獣のジビエなども積極的に食べられるようになり、その流れに羊肉も入ると思う」と菊池さんは話す。

文=中村正人 写真=東京ディープチャイナ研究会、佐藤憲一(内蒙古自治区の羊)

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