上勝町では、通常は13種類45品目もの分別が必要だ。宿泊者はこれほど細かい分別は要求されないが、いざ自分でごみを分類する段になると、これがかなり難しい。
例えば、使い捨てコンタクトレンズの容器の内蓋は、アルミとして分別し、再利用される。食品トレーは、洗っていないと再利用が難しいため焼却対象になる。珈琲豆のカスや茶葉のような生ごみは、キエーロという生ごみ用処理容器に埋めるとバクテリアに分解される。スタッフの人たちにやさしく教えてもらいながら、日頃の自身の分別に対する意識の低さを実感した。
スタッフに教えてもらいながら、ごみは自分たちで分別する
ごみを資源とするかコストとするか
説明を受けたなかでユニークな仕組みが、品目別にどの地域に運ばれて、いくらくらいの価値になるのか、またどのくらいのコストがかかるのか、1kgあたりの金額が明記されていることである。
資源になる雑誌や金属は、資源売却金として売上となり、焼却ごみなどはごみ処理費として支出になる。リサイクルをすればするほど、自治体にとっても収益になる。
食品トレーは洗っていないと焼却ごみとなり支出となるが、洗って分別することで資源となるため、コストも1/100に削減できる。これを日本全体に拡大すれば、冒頭で伝えた2兆円もの税金も削減ができる未来がやってくるかもしれない。
ゴミの品目ごとに資源売却金(収入)になるかコスト(支出)になるかが分かれる
HOTEL WHYへの宿泊を通じて、私自身ごみの見方が変わり、捨てる時のごみの分別に対して、いままで以上に注意を払うようになったことは間違いない。さっそく家に戻ってから、自宅でできるリサイクルとして、燃えるごみとして捨てていた生ごみを、コンポストを購入して堆肥にしてみることにした。
私たちは、どこで暮らしていようとも、生活をする以上はごみを出さないことはほぼ不可能だ。ただ、ごみに対する高い意識と適確な行動の積み重ねで、減らすことはできる。HOTEL WHYに宿泊すれば、上勝町のごみに対する取組みが楽しく学べ、ゼロ・ウェイストアクションが身をもって体験できる。多くの人の少しの意識で、ごみを減らし「資源」と変えていくことができるだろう。
連載:「遊び」で変わる地域とくらし
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