このように介護プラスアルファの専門家が参加することで、生活での困りごとの本質的な要因が見つかる手助けになることもある。そこから解決策を提案するなどすれば、美容施術という違うジャンルから解決へと導くことも可能となる。
現在、多くの施設ではコロナのため面会禁止となり、家族にも直接会えない状況が続いている。そのため、特に高齢のご利用者のストレスも増加している。感染症対策を徹底した上で訪問し、美容施術をすることによって、利用者のストレス緩和にも繋がっているのが介護美容ともいえる。
美容の要素で、介護も楽しく
メイクやネイルをすることで気分転換になるのはもちろん、施術中に美容やおしゃれの話を沢山することも重要だ。話をすることは大切なコミュニケーションである。認知症の方も多くいるそうだが、介護のプロとして接することができるため、適切な対応がされないことで入居者にかかるストレスも回避できるという。
最近では美容から発展したフォトのサービスも実施されている。こちらは遺影用として利用する人も少なくないそうだ。遺影については意外と前向きにとらえる方も多く、ご自身から「今日は遺影用でお願い!」という方もいれば、「こんなお化粧にしてほしい」とリクエストする方もいたりする。元気なうちに、自分の綺麗な姿をいい形で収めたいのは、若者のインスタ映えと同じ感覚で、こういった気持ちさえも元気の後押しをしてくれる。
箱石さんは介護の資格専門職なので、入居者への対応ももちろんだが、特に、訪問時に施設職員の負担を増やさないよう徹底しているそうだ。ご利用者様の移動介助に対応するなど、施設にとっても、入居者やその家族にとっても、「全て任せても安心できる人」でいることを心掛けているという。本当に頭が下がる。
美容という楽しい側面が加わると、介護も楽しくなってくる気がする。毎日何気なく過ごしている日常と美容が密接に関係している現代。美容の役割はまだまだ続く。
連載:オトコが語る美容の世界
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