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最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

アンジャリ・スッド(Getty Images)

オンライン動画全盛の時代、ハリウッドも目指したニッチな動画サイト。ユーザーの傾向から見いだした、手付かずの巨大な市場とは何だったのか。


オンライン動画サービスの「Vimeo(ビメオ)」は、7年前にはハリウッド映画界に旋風を巻き起こすという野望を抱いていた。バリー・ディラー率いるインターネット複合企業 「IAC/インタラクティブコープ」 傘下の同社は、無秩序で広告まみれのユーチューブを避けたいアート系映画製作者に作品をアップする場を提供する、ニッチなビジネスに取り組んでいたのだ。

だが年間売り上げは4000万ドル(約43億円)にも満たず、起死回生の策としてネットフリックスやアマゾン・プライムに匹敵する会員制配信サービスを立ち上げたりもした。

しかし、マーケティング・ディレクターだったアンジャリ・スッドには別の方向性が見えていた。スッドは、Vimeoを撮影から編集、保存、配信までビデオ関連のすべてを網羅するワンストップ・ショップに変容させるというアイデアで結果を出し、17年にVimeoのCEOに任命された。

「はるかに大きな利益をもたらす市場は『スクエアスペース』や『ゴー・ダディ』がウェブ上で成功させた事業の、動画版だったのです」

Vimeoの20年第4四半期の売り上げは、前年同期比54%増の8400万ドル。直近の四半期には会員数が30万人(約25%)増の合計150万人となり、年間売り上げで3億ドルを越える勢いだ。20年11月には28億ドルの評価額でベンチャーキャピタルのスライブ・キャピタルとシンガポール政府投資公社(GIC)から1億5000万ドルを調達。さらに、60億ドル近い評価額で「ティー・ロウ・プライス」などから3億ドルを調達した。IACはVimeoのスピンオフも計画している。

Vimeoのソフトウェアを使えばソーシャルメディア、メールを使ったマーケティング・キャンペーン、ウェブサイト、デジタル・マーケットプレイス、ストリーミング・チャンネルなどで広く動画を拡散させることができる。料金は基本パッケージが月額7ドルから、アマゾンやスターバックスなど大手企業では月額2万ドル以上だ。

Vimeoには広告表示がない。顧客は動画を、広告収入で成り立つフェイスブックやユーチューブはもちろん、アマゾンなど小売りサイトにも掲載できる。自社ブランドのコンテンツに競合他社の広告が入ることを心配する必要もない。

デロイト等の多くの企業が、Vimeoを使って研修ビデオ等を世界各地の従業員のために配信し、中小企業100万社以上が広告、製品デモの動画を配信。映画製作者からピラティスインストラクターまで多くの人がサブスクリプション・チャンネル開設にVimeoを利用している。

文=スティーブン・ベルトーニ & アントワーヌ・ガラ 編集=森 裕子

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