ファインワインはさらに、飲むと気持ちが高揚し、驚嘆させられ、真実の表現が生まれる。また、生産者との結びつきが生まれ、環境的・社会的・資金的に持続可能なものだという。
ファインワインには価格帯があり、入門レベルが30ユーロ(3900円)から150ユーロ(1万9500円)、次の段階が150ユーロから450ユーロ(5万8500円)、その上が450ユーロ以上だという。
興味深いことに、富裕層はこの3つの価格帯すべてのワインを購入している。ワインの適正価格を意識し、手頃な価格で購入するのを好んでいることが、報告書では明らかになった。
女性や若い消費者が高級ワイン市場に参入
最も驚きを呼ぶ調査結果のひとつが、女性の購入者が増えていることだ。しかし、すべての調査対象地域で一様にそうだというわけではない。「英国と米国では、ファインワインを購入する消費者の70%を男性が占めている。その一方、中国と香港は男女比のバランスがとれており、それぞれ50%ずつだった」とヴィカードは話す。
報告書では、サザビーズで行われるオークションに参加する女性が急増しており、地域によっては、女性の増加率が22%にも上ることが明かされた。市場の女性セグメントの価値が成長していることについてはサザビーズ側も認識しており、ファインワインのオークションや関連イベントへの女性の参加を促す手段を模索中だ。
また、若い世代のあいだでもファインワインの人気が高まっており、定量的な調査結果がそれを裏づけている。4地域を通じて、調査回答者に占める35歳以下の割合は平均して38%だった。
そういった比較的若い消費者層では、調査アンケートへの答え方にも違いが表れている。たとえば、ワインを表現する言葉として彼らが挙げていたのは、「ナチュラル、エキサイティング、ロマンティック」などだ。それに対し、年齢の高い層は、「伝統やエレガンス」を挙げた。
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当然ながら、若い消費者層はワインをオンラインやアプリで購入する傾向が高く、特に中国ではそれが顕著だった。米国では多くの若い消費者が、ワイン生産者をソーシャルメディアでフォローしたいと回答した。
そして、この調査結果で最も重要だと思われるのは、ワインブランドをめぐる信頼についての知見だ。ブランドを頼りにワインを購入すると答えた割合は、高い年齢層では71%にのぼったが、米国の若い消費者層では42%にとどまった。