Dapper Labsと日本発NFT開発企業が提携 ゲームIPの海外進出に火を点けるか?


松原氏は「すごく高額なNFTアートですと、イーサリアムでいいと思っています。ただ、ゲーム・アイテムなどですと、ガス代(ネットワーク手数料)が高すぎて割にあわない。別の選択肢がいいと思っております。我々としてIPホルダーへの選択肢を増やすという取り組みです。いずれは、複数のチェーンをNFTが行き来する事も可能にしたいです」と将来構想を明かした。

NFTが将来的にも単一のチェーンでのみ活用されると、ブロックチェーンの存在意義が限定され、流通の流度にも制限がかかる。現在はまさにその状況に置かれている。だがdoublejump.tokyoは、そのブロックチェーン間の壁を打ち破ろうというのだ。「doublejump.tokyoと一緒にやれば適切なチェーンでNFTが行き来することができる」、そんな図式を作り出そうとしているそうだ。


複数チェーンをNFTが行き来する「マルチチェーン構想のイメージ図」(doublejump.tokyo提供)

スポーツ業界もNFTありきの時代に


一方、アメリカ3大スポーツのコンテンツを手掛けることで急成長をみせたDapper Labsは、やはりスポーツの領域をターゲットに据えていると読み取るべきだ。Dapper Labsについて、松原氏は「(コンピュータ・ゲーム会社の)EA(エレクトリック・アーツ社)を意識していると言っていました。その先にはEpic(Game)も超えたいと。おそらく、北米だけでなくもっとグローバルなサッカーなどのコンテンツを狙っているんじゃないかなと……。もうバリュエーションも8000億なので」と、その資産評価規模から、世界最大のスポーツ市場もターゲットにしていると読んでいる。

もともとデジタル領域が主戦場であるゲームのみならず、試合による興行そのものが生業であるスポーツ業界も今後、NFT抜きでは語れない時代がやって来ているように思える。

私自身、世界最大のソフトウェア会社に勤務した経験から、iPhoneの登場により人々の生活様式に変化がもたらされたように、ハードウェアやソフトウェアの進化スピードは、人々が抱く発想や思考のそれよりも圧倒的に速く、人はそのツールに使い慣らされて行くのが、今後の情報社会だと説いてきた。

現在はブロックチェーンなど新たな概念を持ち込んだテクノロジーの登場により、人々の発想や思考そのものが「置いてきぼり」になりつつある。今後、その傾向にはますます拍車がかかることになるだろう。一連のNFTビジネスの隆盛と、それをめぐる業界のソシオグラフの変化は、まさにそれを実感させる動きだと痛感させられた。

まずはdoublejump.tokyoが「Flow」を活用し、どの海原に乗り出して行くのか、常に着目しておきたい。


連載:5G×メディア×スポーツの未来
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文=松永裕司

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