I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Chesnot/Getty Images

14日の米暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースによる新規株式上場の成功は、仮想通貨とそれを取り巻く環境に対する市場認識の転換点となった。ニューヨーク・タイムズ紙はこれを、「暗号通貨のカミングアウトパーティー」と表現した。

コインベース株はナスダックへの直接上場初日、参考価格の250ドルから最高429ドルに達し、328ドルで取引を終了。時価総額は650億ドル(約7兆円)となった。

コインベースの上場は、仮想通貨の信頼性をさらに高めた。本社も持たず、仮想通貨のみを扱う完全にバーチャルな企業が、このように高い評価を得るということは、実体経済に影響を与えているということだ。仮想通貨はもはや、高リスクなプロダクトでも、「あすにでも政府に禁じられるかもしれないもの」でもないのだ。

コインベースは世界最大の暗号資産取引プラットフォームで、8年前の2012年6月、ブライアン・アームストロングとフレッド・エサンによって設立され、有名な「Yコンビネーター」で養成された。

1250人の従業員を抱え、4300万人の認証済みユーザーと7000機関が利用する完全分散型の企業として約100カ国に展開。10億ドル(約1100億円)以上の現金を持ち、2020年の売上高は140億ドル(約1兆5000億円)に達した。

コインベースは進化し続ける市場から学び、プラットフォーム上の資産盗難からユーザーを守る保険を提供するなど、ユーザーの懸念に積極的に対処してきた。結果として、自社が扱う暗号資産で支配的な地位に立ったのみならず、そうした暗号資産に正当性を与えた。

コインベースはさまざなま形で、幾度も事故や盗難に見舞われるなど混沌とした市場から恩恵を得ることに成功し、まだ信用がほとんどなかった仮想通貨市場で成長を果たした。仮想通貨は今、新たな段階に入っており、一部の投資銀行が取り扱いを始めたほか、一部の貴金属よりも良い投資対象だとみなされ始めてもいる。

仮想通貨をベースとする経済は始まったばかりであり、まだ価格が落ち着いていないことから、今は投機的だとか、セーフヘイブン(投資の避難先)だと認識されている。しかしコインベースの上場は、仮想通貨が正当性を得る上での一つの出来事に過ぎなく、未来の通貨の姿を示している。

ここで示される未来の通貨とは、特定の国家やアクターによって管理されず、アルゴリズムによって価値が決定され、完全分散型のトランザクションメカニズムに基づくものだ。だが多くの人は、そうなれば従来型の通貨が破壊されるため、論外だと考えている。一方で、こうした通貨をすでに現実として受け止める人々もいる。

編集=遠藤宗生

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