日本は世界第2位のプラごみ大国 脱プラをどう実現するか

Ronnie Kaufman/Getty Images


そこで探してみると、プラスチック・フリーの石鹸があった。「ETHIQUE(エティーク)」や「LUSH(ラッシュ)」などだ。シャンプーとしても使ってみたが、この手の石鹸シャンプーにありがちな、泡立たない、髪がきしむといった悩みもそれほど気にならなかった。正確に言うと、そもそも目的が異なるので、多少髪がきしんでも構わないといった感じだ。

ETHIQUEは固形石鹸が紙箱に入っているが、紙箱をあけると、石鹸がそのまま入っていることにはちょっとした感動すらおぼえた。

浴室には用途別に何個かの石鹸が置かれるようになったが、そのうち、頭皮もからだの一部なのに、どうして別々の石鹸で洗う必要があるのかと疑問をもつようになった。いろいろ試して、髪がさほどきしまない(きしむことはきしむ)石鹸を見つけ、もうこれ1つでいいのではないかと考えた。

この一連の流れからプラスチック・フリーへ向かうステップを整理すると、以下のような具合になる。

1. 詰め替え製品を使う(使い捨て商品を買わない)
2. プラスチックごみができるだけ少ない製品へ移行する
3. その目的のためだけに使うのではなく、何かに集約できないかを探す

そしてこのステップを、全ての生活用品で試してみる必要があるのではないだろうかとも考えた。

プラスチック・フリーは世界標準へ


話を戻そう。生活者ができることはまだまだありそうだが、プラスチック・フリーの流れは、いったいどこへ向かうのだろうか。そこで、日本は遅れをとっていると書いたが、先を行く国々ではどのような戦略がとられているのだろうか。

意外なようだが、脱プラスチック施策で最初に立ち上がったのは中国だ。2008年に、厚さ0.025mm以下のポリエチレン製袋の製造・販売を全面禁止、店舗では原則有料にした。

2010年にはフランスで、パリ市内に無料の飲水機の設置が開始された。レジ袋の廃止は、2014年にアメリカのカリフォルニア州で法案が成立した。2015年には、イギリス全土でレジ袋に課税がされるようになる。そして2017年には、これまた中国が廃プラスチックの輸入を禁止した。

他にも世界の脱プラ施策を見ていくと、プラ容器などに含まれるビスフェノールAの製造・輸出入・販売の禁止(フランス)、生分解性も含むマイクロビーズの使用禁止(アメリカ・カリフォルニア州)、プラ製使い捨て食器を禁止(フランス)、資源ごみの輸入禁止(中国)、ペットボトルに対するデポジット制の導入計画(イギリス)などが進んでいる。(括弧内は初めて導入した国名)

このようにプラスチック・フリーは今後も進み、世界標準になっていくことは間違いなさそうだ。日本国内では、2020年8月、ナチュラルローソンの直営2店舗で、洗剤の量り売りの実験が始まった。スターバックスではプラスチックストローが廃止された。

しかしながら、2017年に中国がプラスチックごみの輸入禁止をしたことで、日本国内のプラスチックごみが行き場をなくしていることも事実であり、どうリサイクルをするか、根本的にプラスチック削減に取り組まなければならない状況にある。

ただ1つ、どうにも心に引っかかることがある。それは、生活者が最終的にごみを捨てるが、そのごみ袋自体が、プラスチックであるということだ。レジ袋が有料になったことで、インターネットで販売されているごみ袋は、軒並み在庫がなくなった。

それは、レジ袋を「もらう」から「買う」へ転換しただけで、毎日の暮らしに不可欠なものになっているということを示している。ならば、ごみを捨てる仕組みそのものを、大きく転換する必要があるのではないだろうか。

私たちは竹100%でつくったトイレットペーパー「BambooRoll」の発売を1月に開始した。定期便として届けるパッケージは、プラスチックではなくダンボールにそのまま入っているという仕様にした。梱包に使っているテープもリサイクル可能だ。

生活者に届いたあとに、その商品やパッケージがどのように使われるか、あるいはどのようにごみとして捨てられるのか。企業ができることは、まだまだあるように思う。

連載:里山に住む「ミニマリスト」のDIY的暮らし方
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文=増村 江利子

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