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2021.02.09

50万部超えの『繊細さん本』、ヒットが必然だったワケ

『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本』(2018年7月、武田友紀著、飛鳥新社刊)


その代表的な例と言えるのが、お笑いタレントとして活躍するロンドンブーツ1号2号の田村淳氏だ。

武田氏が、田村氏がパーソナリティを務めるラジオ番組に出演し、HSPの話をしたときのこと。その話に物凄く共感した田村氏は、その後自身のSNSで紹介するほど「繊細さん」を気に入ってくれたのだという。

田村氏といえば、数多くの番組でMCを務め、トークも達者でまさに社交的なイメージの人物だ。しかしそうした人でも、自身の内に秘めた繊細さをどこかで感じながら日々を過ごしているかもしれない……田村氏は、その最たる例であると言えるだろう。

非・繊細さんに傷つけられることも。でも「悪気」はないことが多い


自分自身ではなく、身近に繊細さんがいる、と感じた人が同書を買うケースも多いという。

社内教育の一環として使用する企業があったり、医師が患者にすすめたり、周囲に繊細さんがいるかもしれないので、知っておく必要があると思い購入するなど、その理由はさまざまだが、特に身近な存在である「家族」のために買う人が多いという。

同書では、非・繊細さんについての説明もあるため、繊細さん、非・繊細さん双方が読むことで相互理解につながるのだという。

矢島氏は最後にこう打ち明けた。

「なぜこの本がここまでヒットしたのかというのは、正直よくわかりません。ですが、武田さんが言うには、もしこの本が提供したものがあったとするならば、『世の中への安心感』だったんじゃないか、と。なるほどと思いました。

『世の中は辛くて怖い場所なんだ』と感じながら生きている人はたくさんいる。でもこの本で繊細さんたちは『自分が悪かったわけじゃないんだ、他にも繊細さんはたくさんいるんだ』ということや、『非・繊細さんも悪気があるわけじゃなく、自分と違うだけなんだ』と知る。そして『世の中は安心して住める場所なんだ』という希望を、この本を読んだ人に与えることができたのかもしれない、そう考えています」

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取材・文=長谷川寧々 編集=石井節子

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