ビジネス

2021.01.29 11:30

フィンランドの連続起業家が日本で見出したチャンスと共通点

Wolt CEO ミキ・クーシ


これまで多くの国の人とビジネスを共にしてきたクーシが語る日本とフィンランドの共通点は、国民の謙虚さや、人への思いやりを重要視する点、協調性の高さにあるという。両国のフードデリバリーサービスのユーザーは、使いやすさだけではなく、そこに人の温かみを求める。
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地元に根付いた人気店との連携強化、説明会とテストの受講が必須となる厳しい採用ハードルをクリアした配達パートナーの確保、迅速なチャットサポートの強化から、ユーザーのリピート利用を狙う。


東京でも見かけるようになったWoltの配達員は、ブルーのユニフォームが目を引く

「広島市」からスタートした理由


日本では現在、東京、札幌、仙台など、合計9都市でサービスを提供しているが、一番はじめにサービスをスタートさせたのは、広島市だった。
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「Woltは日本でも受け入れられる確信があったものの、やはり不安はありました。フィンランドの国土面積は、日本の9割程度の大きさがありますが、人口わずか550万人の小さな国です。人口約1400万人の東京は、それだけ需要があるものの、すでに多くのフードデリバリーサービスが普及している。そこで、日本でのデータを集める上でふさわしいと判断したのが、Woltが展開するヨーロッパの都市と近い人口の広島市でした」

広島市でサービスをローンチしてわかったことは、クーシの予想通り、フィンランドと日本には文化的共通点が多くあること。そして、どんな国の人でも、遅くまで働く日や、外に出たくない日は、デリバリーサービスを積極的に利用するということだった。

2020年3月に広島市でサービスをスタートさせ、現在は合計9都市に展開をしているが、数年以内で日本100都市の展開を目指すという。

「今回の資金調達は、経営基盤を強固にするチャンスではありますが、多くの競合がひしめくこの業界で長く生き残るには、最高の顧客サービスを提供し続けることが必要不可欠です。フードデリバリービジネスの面白さは、ユーザー、加盟店、配達パートナーをテクノロジーの力でつなぐことで、より良いサービスを目指せること。そして、人が生きる上でなくてはならない食事という形でサービスを届けることができることに、Woltを世界で展開することの意義や面白みを感じています」

Woltは、欧州テック業界の中心に約10年いるクーシが、もっとも長く手がけた事業となっている。彼が確信した成功は、日本、世界でどのような形となって現れるだろうか。

文=守屋美佳 写真=Wolt

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