経済・社会

2021.01.07 16:30

第二波真っ只中のスウェーデンから 現地日本人医師による実態証言

2021年1月1日、スウェーデン、ストックホルムの街中。(Getty Images)


ロックダウンをしていない理由も、憲法によりロックダウンができないことが理由の一つであった。秋に介護施設への訪問が禁止になった時も、その後裁判所が、「訪問禁止は人権侵害であり違憲である」との判断を示した。高齢者が家族に会う権利を保護したものだ。今後、政府が強い規制を実行できるために、「パンデミック特別法」の制定が議論されているが、その第一案は、外部の審査委員会が、「国民の人権侵害に関する懸念」を理由に差し戻しとなった。
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「強制」にあらず。「状況限定での推奨」


その後、12月28日の記者会見で、2021年1月10日から9月末日までの「期限付きのパンデミック特別法」が提出されたと発表があり、これが可決されれば、政府がショッピングセンターや店舗などを強制的に閉鎖できるようになる。レストランなど飲食店についても同様の効力を持ち、違反者には最大4000クローネの罰金が課される。また、閉鎖や営業時間短縮に伴い補償も行うが、この特別法が成立すれば、これまで規制の殆どが推奨であり強制ではなかったスウェーデンでは新たな動きと言える。

さらに、イギリスや南アフリカで変異種が発生していることを受けて、変異種の流行している地域からの入国制限も始めた。1月5日現在、国内で確認された変異種の感染者は13名。1名をのぞき、全てイギリスからの帰国者である。

スウェーデンにおける国民個人個人を対象とした規制は、「推奨」であり、国は国民を信じて「強制」をせずにここまできた。これまで、マスク着用推奨がなされず、今後も「状況限定での推奨」であり「強制」とならないのも、人権侵害を回避する理念がベースにある。
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2020年12月23日、スウェーデン ストックホルムの日常(Getty Images)

マスク着用の効果を否定するものではないが、マスク着用よりも、ソーシャル・ディスタンスを取ることの方にエビデンスがあることは確かであり、マスクをして安心しソーシャル・ディスタンスを取らなくなったら本末転倒、また、貧困者にとって正しくマスクを使用することは経済的に負担であり、不平等な政策であると考えられることなどが公衆衛生庁から繰り返し説明されてきた。したがって、ユニバーサルマスキングとして「国民全てにマスクをすることを強制することはできない」という公衆衛生庁の姿勢は、第一波から変わっていない。
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文=宮川絢子 編集=石井節子

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