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パンデミックから命をまもるために

聖路加国際病院「QIセンター」感染管理マネジャーの坂本史衣氏。

10月4日、全都道府県が国の観光支援策「GoToトラベル」の対象となって初めての週末を迎えた。対象外措置が解除された東京でも、観光地を訪れる人の流れは増加し、パンデミックの影響で落ち込んだ経済活動の再活性化が期待されている。

一方で、日本でもこれから秋冬を迎える上で、感染が拡大していくのではないかと不安に思う人も少なくない。新型コロナウイルスの感染経路を断ち、新しい生活様式を実践していくためには、今後どのようなことに気をつけていくべきなのか。

新型コロナウイルスから命を守るためのウェブサイト「PANDAID」を立ち上げたデザイン事務所「NOSIGNER」代表の太刀川英輔と、害虫駆除や水質検査などの環境衛生管理会社「シェル商事」代表の岡部美楠子が、聖路加国際病院「QIセンター」感染管理マネジャーの坂本史衣氏に、新型コロナウイルス感染症の予防対策についてインタビューした。

感染予防研究の最前線にいる研究者は、現在の新型コロナの状況をどのようにみているのだろうか。

新型コロナ「ゼロ」を目指すのは現実的ではない


太刀川:「新型コロナウイルス感染症がまだ十分に収束していない中で経済活動を開放してしまったのではないか」という声もあります。現在も油断できない感染状況ですが、今後どのように向き合っていくべきかのご意見をお聞かせいただければと思います。

坂本:2020年1月に国内での第一例目が報告されて以降、3月と4月に新規感染者数の最初の大きな波が起こり、緊急事態宣言がなされました。

これにより人と人が接する機会が減って、一旦は新規感染者数も減りましたが、宣言の解除とともに再びヒトからヒトへウイルスが伝播する機会が増えました。新型コロナウイルスの感染経路には、重要性が高い順に飛沫感染、接触感染、そして特定の状況において起こり得る空気感染の3つがあるとされていますが、もし活動自粛を続けていたら、感染症が再び増加する可能性は下がったか、遅れたかもしれません。人が活動を再開すればウイルスが伝播する機会が増え、新規感染者数も当然増えます。

この活動再開のさじ加減が難しく、例えばヨーロッパ諸国やアメリカのニューヨーク市では、短期間のうちに爆発的に感染者数が増えたあとに強制力のあるロックダウンを行って感染者数が減りましたが、活動再開とともに一旦減った感染者数が増加に転じています。

2020年10月現在、ワクチンの開発が進んでおり、世界保健機関(WHO)は年末には準備ができる可能性があると述べています。しかし、有効性についてはまだ分かっていない部分がありますし、すべての人が接種を希望するわけでもないでしょう。

新型コロナウイルスはおそらくなくならないというのが、現在の有識者の見解です。ですので、今後も新型コロナと付き合って行く前提で対策を考える必要があります。ゼロになることを期待したり、目指したりすることは現実的ではないのです。

文=岡部 美楠子

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