「鬼滅の刃」に関しても、著作権者であるアニプレックスと集英社が刑事告訴しており、以下のように複数の逮捕事例が報道されている。
・「鬼滅の刃」のキャラクターを無断で使ったスマホケースを販売
「鬼滅スマホケース販売、著作権法違反疑い 青森の男逮捕」朝日新聞デジタル(2020年12月3日)
・「鬼滅の刃」海賊版DVDを販売
「『鬼滅の刃』海賊版DVD販売か 著作権法違反疑いで会社員逮捕」NHK(2020年10月27日)
・キャラクターフィギュア、キーホルダー、目覚まし時計を販売
「鬼滅の刃グッズ販売で罰金 無断で複製、著作権法違反」SANSPO.COM(2020年10月14日)
プラットフォーマーにも責任が
権利者の権利行使に関しては、刑事のみならず、民事上の手段もある。権利者は、模倣品を売っている者に対して、裁判を起こして販売の差止めや損害賠償を求めることはできるが、とはいえ個々の販売者に対して個別に裁判を起こすのはコストがかかるし、キリがない。
そこで、楽天、アマゾンなどのプラットフォームを提供している事業者に対して、模倣品販売の責任を問えないかという「問題意識」が生まれる。このような問題意識に基づき裁判となった事件として、商標権侵害を巡るチュッパチャップス事件がある(※4)。
楽天市場でチュッパチャップスの商標を無断で使用したグッズが販売されていた。権利者のイタリア法人は、直接グッズを販売していた出店者ではなく、プラットフォーマーである楽天に対して商標権の侵害を主張して裁判を起こしたのだ。
チュッパチャップス商標
楽天で販売されていた無許諾のチュッパチャップスグッズ
では、楽天は、出店者による模倣品販売に関して責任を負うのだろうか?
裁判所は、ウェブサイト運営者が次の2つの条件をみたす場合、運営者も商標権侵害の責任を負うと判断した。
(1)ウェブページの運営者が、単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず、運営システムの提供・出店者からの出店申込みの許否・出店者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い、出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であること。
(2) その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされないこと。
※4 知財高判平成24年2月14日判時2161号86頁〔チュッパチャップス事件控訴審〕