一定の条件をみたすと利用資格が付与されるProject Zeroでは、(1)自動プロテクション(機械学習による自動プロテクション機能で、継続的にストアを調査し、偽造品の疑いのある出品商品を積極的に削除する)、(2)セルフサービスの偽造品削除(ブランドがアマゾンへ連絡することなく偽造品削除が行われる)、(3)商品のシリアル化(登録商品を製造する際に、各ユニットに固有のコードを付与することで、アマゾンがストアで販売される商品の真偽を精査して確認できるようにする)といった機能が提供されている(※8)。
メルカリでも、「偽ブランド品撲滅への5つの取組み」として、(1)ブランド権利者と協力のうえ出品パトロール、(2)業界歴の長いプロ鑑定士の在籍と真贋力の強化、(3)テクノロジーを使った不正を見抜く仕組みづくり(蓄積された偽ブランド品データ、過去にトラブルになった出品パターンを機械学習で解析することで自動的に疑わしい出品を削除したり、出品者への注意喚起を行ったりするなど)、(4)捜査機関や官公庁とのパートナーシップ構築、(5)メルカリの取り組みで安心な取引を実現、を掲げている(※9)。
模倣品対策の進むべき道のり
権利者側の取り組みとしても、ブロックチェーンを使った模倣品対策が進められている。
例えば、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンは、2019年5月、マイクロソフトとブロックチェーン開発企業のコンセンシスと提携し、製品が本物かどうか確認できる「オーラ」というプラットフォームを導入すると発表した(※10)。
改ざん耐性の強いブロックチェーン上に、原材料の調達国や製造工程や真正品であることなどの情報が記録され、それらの情報を含むQRコードを製品に付けることで消費者が情報を確認できるようにする。
しかし、このような取り組みもまだ道半ばであり、逆にルイ・ヴィトンのバッグの模倣品に、正規品に未搭載のNFC(近距離無線通信技術)チップを搭載し、あたかも正規品と証明されているかのような外観をつくり出す模倣品販売の事例も2020年に出てきている(※11)。
ブロックチェーンを使った模倣品対策は正しい方向性だと思うが、テクノロジーに対する消費者側のリテラシーも求められ、普及にはまだまだ時間がかかりそうだ。
模倣品や海賊版との闘いを断ち斬れる日は、まだまだすぐには訪れそうにないようだ。
※8 「Amazon Project Zero」アマゾンHP
※9 「偽ブランド品 撲滅への5つの取り組み」メルカリHP
※10 「『ルイ・ヴィトン』がブロックチェーン技術を導入 消費者は商品の製造工程や真贋の確認が可能に」WWD(2019年5月20日)
※11 「中国で『ルイ・ヴィトン』模倣品2000点が押収 正規品に未搭載のチップを付属」WWD(2020年9月14日)