「鬼滅の刃」に限らず、いつの時代にもヒットあれば便乗あり。非正規の模倣品を売ってひと儲けしようという動きが出るのは世の常である。特に、現代では誰しも簡単にECサイトをつくることができるようになったし、メルカリのようなC to Cのプラットフォームもすっかり身近な存在となっている。
「鬼滅の刃」についても、著作権者の許諾を得ていない非正規の模倣品フィギュアが流通しており、発売元のBANDAI SPIRITSプライズ事業部が注意を呼びかけている。
出典:「2019年7月登場PVC塗装済み完成品『鬼滅の刃 フィギュア -絆ノ装-壱ノ型』模倣品について」(2020年7月10日)
世界の模倣品・海賊版市場の規模
OECD(経済協力開発機構)が公表している調査によれば、2016年の世界の「模倣品・海賊版市場」の規模は、5090億ドルとされている(※1)。これは、世界の貿易額の3.3%にも上る。2013年の同調査では、4610億ドル(世界貿易額の2.5%)とされており、模倣品・海賊版市場の規模は拡大を続けていることになる。
この数字は、各国税関での押収物のデータに基づいて算出されており、国内で生産、消費される模倣品やインターネット上で取引される海賊版は含まれていない。そのため、実際の模倣品・海賊版市場は、この数字の数倍はあるのではないかと推察され、2022年には1兆9000億ドル~2兆8100億ドルになるとの予測もある(※2)。
押収物として多いのが、靴、衣料品、革製品といったファッション関係の製品となっている。
出典:「偽造品取引は世界の貿易の3.3%を占め、増え続けている」OECD(2019年3月18日)
模倣品のターゲットになりやすいのは、摘発が低リスクとなり、高収益となる商品と分析されており、具体的には、(1)小物であること、(2)すぐに売れること、(3)安価に製造できること、(4)人気商品であることという条件をみたす商品である(※3)。そのためか押収物として多いのも、靴、衣料品、革製品といったファッション関係の製品となっている。
権利者も模倣品に対してもちろん何もしないわけではない。例えば、著作物を無断で複製して販売すれば、著作権法違反で刑事事件にもなる。
※1 OECD, Trend in Trade in Counterfeit and Pirated Goods, March 2019
※2 BASCAP and INTA, The Economic Impacts of Counterfeiting and Piracy, January, 2017
※3 デロイトトーマツコンサルティング合同会社「我が国模倣品被害の課題分析及び課題解決のための方策検討に関する調査」(2018年3月30日)12頁