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biotope代表取締役

ウィズコロナ、アフターコロナ時代の「これからの理想」をみんなで話そう。そして、ビジョンを再定義しよう。フォーブス ジャパン8・9月号では「新しいビジョン」入門特集を掲載。これからの時代の「ビジョン」を考えるガイドブックを目指し、台湾のデジタル担当政務委員オードリー・タンをはじめ、世界および日本の起業家、経営者、Z世代の「これからの理想」を紹介している。

特集内からBIOTOPE CEOの佐宗邦威氏が語る「いいビジョンとは何か」をお送りする。

「これからの理想」を考えるうえで必要不可欠になるキーワードは、持続可能な社会へのシフトの前提となるレジリエンスと「巡る経済」だ。


コロナ後の社会を考えるうえで「いいビジョン」とは何か。ビジョンは元来、多様な答えがあるものだ。しかし、経済の再構築と気候変動への対応という難題に立ち向かういまの私たちにとっての「いいビジョン」は、個人、企業、社会とあらゆる場面でレジリエンス(回復力)を高め、無数の「巡る経済」を作り出すという2つの基準を満たすことが必須条件ではないかと思う。

そして、私は、新型コロナウイルスによって起きた資本主義の減速を機会ととらえ、持続可能な社会へのシフトを考え、新たな生活様式をつくりはじめるべきだと思っている。そのためには、社会全体の循環という大きな物語のみならず、「個人」単位からはじまる小さく巡る、輪がしっかりとつながり、循環を感じられるライフスタイルの実現を支援できる事業、組織を作ること。それを、「巡る経済」としていかに広げるかが重要になると考えている。

加速する「大きな循環型経済」


持続可能な社会の実現は、永遠の課題だ。最近では循環型経済という経済変革を伴う社会ビジョンとして、欧州を中心に中国やインドに影響を与えながら推進されてきたが、日本ではエネルギーや産業構造のシフトが遅れ、まだ先のテーマと認識されている。しかし、筆者が携わる企業経営の現場では、社会や経済を循環型にシフトさせていく動きが、ここ1年で加速している。

その背景には、政府や行政、年金基金を中心にした機関投資家、インパクト投資家、大企業、スタートアップのそれぞれの“点”の取り組みのリンクがつながり、お互いに影響を与え合いながら、循環型経済の実現を目指す大きな輪がつながりつつあるからだ。

この動きの起点は、政府や行政のビジョンに基づいたゴール設定だ。2019年12月に発足した新欧州委員会による「欧州グリーンディール」はその先端だろう。欧州連合(EU)は、気候変動対策のリーダーとして、50年までに域内の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す総合環境政策を看板政策に掲げている。20年1月には、今後10年間で1兆ユーロ(約120兆円)の資金を投じる投資計画(持続的な欧州投資計画)を発表した。

コロナ禍の4月にも、EU加盟国12カ国の大臣とグローバル企業39社のCEOが「グリーンリカバリー・アライアンス」を結成し、「新型コロナからの復興経済対策で気候変動を重視すること」を宣言した。自治体レベルでも、オランダ・アムステルダム市による「2050年までにサーキュラー・エコノミー・シティへの移行」を宣言した取り組みを筆頭に進んでいる。

文=佐宗邦威

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