UIとUXとの違いは何か? から始まり、その守備範囲、UXデザイナーの役割など、異なる人やコンテキストによってその概念は大きく変わることもある。
乱立する業界用語
ユーザー体験とユーザーインターフェイス、UXデザインとサービスデザイン、そしてユーザー中心設計と顧客第一主義など、似て非なる言葉が多すぎて、その概念をしっかりと説明できる人は少ない。
そして、ここにきてもう一つ、「CX(顧客体験)デザイン」なるものが登場した。こうなってくると、どんどんややこしくなってくる。
今回は、特にわかりにくくなりがちなデザインにおけるユーザー体験(UX)と顧客体験(CX)の違いを中心に掘り下げてみる。
ユーザー体験(UX)デザインとは?
ユーザー・エクスペリエンス(UX)デザインは、プロダクトを使用しているユーザーの満足度を高めるための施策の複合体を表す言葉。UXデザインの主な原則は、明確性、消化性、親しみやすさ、信頼、喜びなどを通じて、ユーザー体験の質を上げることにある。
UXデザイナーの主な役割は、使い心地の良さや、利用する喜びの要素などを通じ、ユーザーがプロダクトから受け取る体験の質を上げることになる。その具体的な測定方法は、UXピラミッドなどで測ることができる。
UXクオリティを測る手法としてUXピラミッドがある。6つの階層で構成され、下部の3つが実用性。そして上部が利用時の感覚を示す項目になっている。(UXピラミッド – UXデザインの正しい評価方法より)
顧客体験(CX)デザインとは?
カスタマー・エクスペリエンス(CX)デザインという言葉を聞いたことがある人はまだまだ少ないはず。というのも、一説にはこの単語が生まれてから10数年ほどしか経っておらず、世の中に定着してから8年程度であるという。
CXデザインとは顧客体験デザインのことを指すが、UXデザインとはどう違うのか。これらの疑問に答え、いくつかの結論を導き出すことで、デザイナーの方々やデザイナーと一緒に仕事をする方々のお役に立てればと思う。
最近UXの概念がわかりにくくなってきた理由
実はこの2つ、あまりにも領域が近すぎて、ごっちゃにしているケースが後を絶たない。しかし、それもそのはず。元々UXとは、ユーザーがプロダクトやサービスから受け取る全ての体験のことを指していた。
しかし、デジタルプロダクトの普及により、現在ではUXは主にデジタル接点におけるユーザー体験をメインとするようになってきている。
それに伴い、UXデザイナーの仕事の大部分もデジタルでのタッチポイント設計を中心とすることが多くなり、それ以外の範囲をCXやサービスデザインの領域でカバーするのが一般的になりつつある。
理解、共感、アイディエート、プロトタイプ、テスト、ローンチ・計測というUXデザインの6つのステップ(UXデザインプロセス入門より)