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「福隆国際砂彫刻芸術季2017」の優勝作品、宮本武蔵

保坂俊彦。日本には数名しかいないプロの「砂像アーティスト」だ。

2017年、保坂は、台湾のビーチで行われた砂像アートの世界一を決める大会「福隆国際砂彫刻芸術季2017」で優勝、一躍世界から注目を集める。また、2019年には、自身が制作した砂像アートが、地球環境の変化を特集した米「TIME」誌(9月23日号)の表紙を飾ったことでも、大きな話題を集めた。

東京芸術大学美術学部彫刻科在学中から砂像の制作を始め、その後、世界各国で開かれる砂像イベントで、日本を代表する招待アーティストとして活動を続ける保坂。

時には数百トンもの砂を使うという「砂像アート」だが、いったいどのようなきっかけで手掛けるようになったのか、巨大な像はどんなふうにつくられているのか。その疑問を尋ねるかたちで、彼が創作に懸ける思いに迫った。


砂像アートを芸術への入り口に


保坂が砂像制作で重要視するのは、何よりも「わかりやすさ」だという。

砂像作品を制作、展示するのはイベントや祭りの会場が多い。来場者の多くは当然、必ずしも芸術や彫刻に造詣は深くない。「美術館に彫刻を鑑賞」しに来ているのではなく、「地元のお祭りを楽しみに来ている」人たちなのだ。

砂像は、そういった人たちに芸術、彫刻に興味を持ってもらう機会や子ども達が「芸術」に触れるきっかけであってほしい、そう保坂は言う。

「だからこそ、テーマは多くの方に理解してもらえるもの、ぱっと見でわかるものを選んでいます」

確かに、作品のテーマには「宮本武蔵」「アリス」「ティラノサウルス」など、「誰もが知っているもの」が多い。


砂像アーティスト 保坂俊彦

「私にとって、砂像は『芸術と遊びの中間』です」とも保坂は言う。見る人に「芸術とはこうだ」めいたプレッシャーを持ってもらいたくない。楽しく遊びながら関心を持ってもらい、本格的な芸術への意識を高めるきっかけにしてもらえればいい。それが、砂像アーティストとしての自身の役割とも保坂は考えている。

出会いは「秋田」だった


「砂像アートとの出会いは大学3年のときでした。本当に偶然で、叔父が住む秋田県で砂を使ったイベントをやることになったのがきっかけでした。お前、彫刻できるよな、ちょっと手伝いに来てくれないか、と声をかけられたんです。

芸大の彫刻科の授業では、むろん素材に砂などは使いません。粘土とか、いわゆる普通の彫刻素材にしか触れない、だからそれまでは『砂像』など見たことも聞いたこともなかった。なので、秋田には、小さい頃の砂遊びのイメージで、砂の城でもつくるのかな、と漠然とした気分で出かけました」

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『アリス』 秋田県三種町 2016年7月 「サンドクラフトinみたね2016」 5m(W)×5m(D)×3.6m(H)

文・構成=石井節子 写真提供=保坂俊彦

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