ビジネス

2020.06.20 11:00

携帯電話デザイナーから相模原のカフェオーナーに。「KPIのコペルニクス的展開」はどう生じたか

写真=嶋田耕介

写真=嶋田耕介

世の中が「コロナ一色」に染まったこの数カ月。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、アフターコロナ時代が到来するかどうかさえ、危うい。

こんな不確実な世界と時世に、あなたは何に拠り所を求めるだろうか。この先、何が起きても後のち後悔せずにせむ、衷心から打ち込める道は何なのか。

たとえば今いる会社にこの先ずっとは「勤め続けない」という選択に、一瞬、思いが泳ぐことはないだろうか。

アマゾン ジャパンローンチメンバー(社員番号4番)であり、現在は東証一部キャリアインデックス執行役員社長室長を務める曽根康司氏が、プロダクトデザイナーの肩書きに「カフェのオーナー」の肩書きを加えた嶋田耕介氏に話を聞いた。以下はその前編だ(後編はこちら)。


たとえばもし、あなたがも今、カフェのオーナーとなって、カフェを作ることになったならば、どのような行動を取るだろうか?

おそらく、客数の見込みから出店候補地を決めて近隣の不動産相場を見るか、予算に見合う立地・大きさの物件を探し、客数を計算するのではないだろうか。

飲食店の売上の基本となる方程式は「客数x客単価」であり、その客数は立地と密接な関係があるのは間違いない。

神奈川県相模原市にある津久井湖の湖畔に大きな倉庫を改装したカフェがある。店舗面積220平方メートル、天井高5メートルの大空間。ロードバイクのまま乗り入れ、入店できる。ZEBRAコーヒー津久井本店だ。周囲には何もない。その倉庫も以前は廃屋だった。加えて、江ノ島でも湾岸でもない「相模原」というニュートラルな立地。

オーナーの嶋田耕介氏に、西新宿にある彼のアジト兼仕事場で話を聞いた。このアジト兼仕事場は最近借りたもので、嶋田氏が自身で内装を仕上げた。高速道路のランプが間近に見え、行き交うクルマを眺めているとゴダールの映画を観ているような錯覚を覚える場所だ。

都心から40kmの方程式 コンパスで半径40kmの円を書いて決めた立地


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曽根: 何故、相模原だったんですか?

嶋田: 東京の都心から車で1時間でいける距離、40kmだったからです。

カフェを作ると決めたとき、当時いた渋谷の事務所を中心にコンパスで半径40kmの円を地図に描いたんです。その中で、主要の幹線道路沿い、500平米、駐車場スペースがあるという条件を満たす物件が見つかりました。それが、ZEBRAコーヒー津久井本店です。
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文=曽根康司 写真=嶋田耕介 編集=石井節子

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