そんなVチューバー業界で先駆を走り、未だ他の追随を許さない存在がキズナアイだ。2016年12月に動画投稿を開始し、現在のYouTubeチャンネル登録者は270万人超。大型野外フェスやテレビCMに出演、エンターテイメントの新たな道を示しただけでなく、新たな「日本のアイコン」を担っているのだ。
そんなキズナアイが、マネジメントを担っていたActiv8から独立。新たにKizuna AIを立ち上げ、より独立した形で新たな表現に挑戦していくという。一過性のブームで終わらないために。2020年代のバーチャルユーチューバーはどのように変化していくのか。Kizuna AI代表・松本恵利子氏に、「チーム・キズナアイ」が目指すものを聞いた。
世界中のファンと繋がるために
───まず、Kizuna AI設立の経緯を教えてください
キズナアイのサポートにあたり「独立性」が必要だと感じたことが、新会社設立の大きな理由です。これまで、キズナアイはActiv8(アクティベート)がプロデュースするバーチャルタレントとして活動を続けてきました。
しかし、今後より活動の幅を拡げていくためには、「チームキズナアイ」として独立するほうが良いのではないかと考えたのです。
───これから、よりグローバルへ進出していくという方向もあるのでしょうか。
キズナアイのミッションは「世界中のみんなとつながる」。そもそも、日本でバーチャルユーチューバーが人気になったのも、海外での人気から日本に波及した、いわば「逆輸入」でした。日本だけでなく、バーチャルな存在でできることの可能性を拡大させ、さまざまな形で世界中のファンと繋がり、活動していきます。
───今回、Kizuna AIの代表に就任されていますが、なぜ代表になろうと思ったのでしょうか?
正直、代表になるとは思っていませんでした。私は2018年12月にActiv8に入社し、当時は事業横断組織のセールスチームにいたんです。そのため直接キズナアイに関わっていたわけではなく、どちらかと言えばActiv8の商材を売っていました。
そうした中で、2019年の秋頃にキズナアイのチームに移動し、ほとんどの時間をキズナアイに費やせるようになったんです。実際、関わる時間が増えてから、キズナアイをもっとしっかり伸ばしていきたい、という思いが強くなっていて。それでキズナアイを独立して運営することになり、その流れで私が代表に就任した、という感じです。
Kizuna AI代表・松本恵利子氏