──キズナアイをどのように伸ばしていきたい、と思っていたのでしょうか?
「ファンファースト」という原点に立ち返って、運営していくべきだと思ったんです。私は前職、リブセンスで働いていて、そこでは就職や転職関連のクチコミ情報を提供する「転職会議」のBizDev(事業開発)を担当していました。
当時、転職会議のUI/UXデザイナーの人たちは3日に1回くらいユーザーインタビューを行っていたんです。一人ひとりのユーザーを捕まえて、「これどう思います?」「使いやすいです?」とインタビューし、その意見をサイトに反映させて、いいプロダクトを作っていた。
数百万という巨大なトラフィックを持っているにもかかわらず、ユーザーファーストの考えを持って、愚直に改善を繰り返していたことを思い出し、私たちも「ファンファースト」の原点に立ち返って、アクセルを踏むべきだなと思ったんです。もちろん、ファンファーストの考えがなかったわけではありません。大事だと思っていたとはいえ、あまり喜んでもらえることができていなかったのは結果として、事実ですので、今後はよりファンファーストの考えを大事にしたいと思いました。
───デビューから3年半、まさに破竹の勢いで人気を獲得して行ったキズナアイですが、これまでの活躍をどのように捉えていますでしょうか。
テレビCMや観光大使など、マスに対して一定の認知は得られたことは、業界にとっても非常にポジティブだったと感じています。一方で、バーチャルタレントとしての「進化」という点では、賛否両論のあるできごともありました。
───たしかに、先ほどおっしゃっていたキズナアイが増えたときは、主にファンからの賛否両論が相継ぎました。
昨年8月に連続投稿された「キズナアイな日々」。キズナアイが突如「分身」するというチャレンジングな内容は、ファンを中心に議論を呼んだ。
キズナアイの新たなチャレンジとして「キズナアイな日々」と題した、複数のキズナアイを紹介しました。この動画は、ミッション達成に向けての新たな挑戦として好意的な反応があったのですが、たくさんのファンから「誰を応援していいかわからない」などの声もいただき…。改めてキズナアイとはどうあるべきかを考えさせられるタイミングでした。
それを受けて、複数のキズナアイのうち二人、loveちゃん・あいぴーに関しては、「キズナアイのloveちゃん・あいぴー」としてではなく、「loveちゃん・あいぴー」として、今後は新しいYouTubeチャンネル「love-pii channel」を開設し、2人組として活動していきます。