ビジネス

2020.07.03 07:00

キーワードは「ナラティブ」。PR TIMES山口拓己代表に聞く、激変する企業発信のこれから

PR TIMES山口拓己代表(写真=小田駿一)

PR TIMES山口拓己代表(写真=小田駿一)

2020年、世界的なコロナ禍に襲われ、オンライン化が一気に進む中、企業からの「発信」のあり方が激変しつつある。

かつて企業の発表事項は報道機関を通じて伝えるのが主流だったが、企業がホームページなどで情報発信するのが主流となり、プレスリリースがオンライン化されたことによって、直接、生活者や消費者に情報を届けられるようになった。

オンライン化で利用企業が急増しているのがプレスリリース配信サービスなどを手掛けるPR TIMESだ。月間PV数は大手ウェブメディアに匹敵する規模と言える5000万に達し、利用企業は4万社を突破。PR TIMESに配信されたリリースをコンテンツ転載の形で掲載しているメディアは約200に及ぶ。

かつて報道機関に届けられていたプレスリリースは、もはやその定義や役割を超える存在に発展した。

企業内の当事者が自ら綴る「ナラティブ」


2020年5月には、商品の開発秘話や創業ストーリーなど、企業や団体内に秘められた背景や裏話を当事者が自ら綴って発表できる新たなサービス「PR TIMES STORY」をスタートさせた。

「A社がこんな新商品を発売しました」ではなく、「私がこんな思いで開発しました」──。企業内の個人が自らナラティブに語ることで、「名もなきヒーロー」にスポットライトが当たるようにしたいという。

「もうすぐ創業100周年を迎えるサクラクレパスの『クレパス』誕生秘話」や、「18年連続で売上トップの『深煎りごまドレッシング』。その知られざる誕生秘話から、人気の理由を探る!」など、すでに当事者たちからの読み応えのあるコンテンツが多数寄せられている。

また6月にはライブ配信サービス「PR TIMES LIVE」で、プレスイベント実施にイベント会場を必要としないオンライン完結プランを新設した。

オンライン化で簡単に発信ができるようになった一方で、ただでさえネット上には数多の情報が溢れる中、世界中が新型コロナという一大イシューに向き合っている。企業活動がより「伝わりにくい」時代に突入したとも言えるかもしれない。企業の発信に、一体何が起きているのだろうか。

PR TIMESの山口拓己代表に聞いた話を改めて紐解きたい。編集部は今年1月に取材を行ったものの、コロナ禍で状況が一変し、記事で紹介できないままとなっていた。今となっては前述の通り企業活動のオンライン化が不可避となり、PR TIMESの利用企業も一気に増えた。コロナ禍を経て企業の発信のあり方が問われる今、改めて山口代表の信念を伝える価値があると考え、筆を執った。下記は1月17日の取材の様子である。
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文=林亜季、写真=小田駿一

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