例えば、環境先進国スウェーデンの事情はどうだろう。自国発のブランド、H&Mも商品袋の有料化に踏み切ったという。
高校時代にスウェーデンに交換留学し、大学卒業後はスウェーデン大使館商務部勤務。その後、理想の子育てを求めて家族でスウェーデンに移住した久山葉子氏に、環境大国スウェーデンの「エコバッグ事情」について寄稿していただいた。
男性は買い物後、「素手」で?
日本でも7月からコンビニなどでもレジ袋が有料になるという。そんな中、スウェーデンと日本を行き来していて、買い物風景で気づくことがある。
まず、日本では以前からすでにエコバッグを使っている方が多いと感じる。デザインに関しても、正直スウェーデンよりも日本のほうがずっと豊富だ。ただ、女性が使うことを想定しているものが多く、男性でエコバッグを使っている人はまだ女性ほど多くはないようだ。
そして振り返ればスウェーデンでも、男性がエコバッグを使っているのはあまり見たことがないし、町を歩く人を眺めていると、「カバン」自体を持っている人が少ない。
いったい男性は買い物をした場合、どうしているのだろうか。スウェーデンにはコンビニがないから単純に比較するのは難しいが、スウェーデンでは例えばキオスクで雑誌を買ったら丸めて手で持って帰るだろうし、レストランでランチをテイクアウトしたら容器を手に持って帰っていく。手に持てないほどの量なら、店が再生紙の紙袋に入れてくれる。
紙は紙で森林伐採につながるし、環境負荷もゼロではないので、もちろん使用は抑えるべきなのだが、スウェーデンでは後に触れるように政策上、「ビニール袋の使用が極限まで減らされている」ためである。
「年間で150枚買っていた」レジ袋をやめた理由
男性がどうしているかはとりあえずさておき、かくいう私も、10年前にスウェーデンに移住した当初は、スーパーに行くと毎回、有料のレジ袋を必要なだけ購入していた。頑丈なレジ袋は、イケアなどのゴミ箱にかぶせるのにもぴったりのサイズで、「ゴミ袋としてしっかり再利用するのだし」と罪悪感はあまりなかった。
週に3枚は買っていたから、年間で150枚くらいは消費していたはずだ。果物や野菜を入れる小型薄手のビニール袋や、服やおもちゃを買ったときに入ってくるショッピングバッグも加えると、家族で年間300枚はビニール袋を消費していたと思う。
(写真:久山葉子)
だがそんなわたしの悪しき習慣は、EUの取り組みのおかげで変わっていった。2015年に包装および包装廃棄物に関する現行のEU指令の改正案が採択され、スウェーデンは2025年までにビニール袋の一人あたりの消費を40枚まで減らすことを決めたのだ。