スウェーデンのレジ袋有料化に見た「日本の男性にヒントあり」

Sara Sette / Shutterstock.com


もうひとつわたしの購買行動に大きな変化があったのは、2017年だ。H&Mをはじめとする大手ファッションブランドが一斉にショッピングバッグを有料化したのだ。その額、2クローネ。日本円にしてわずか25円程度だが、それでもお金を払ってまで必要かと考えると、そうは思わない。ショッピングバッグはゴミ箱にかけられない形だし、家で再利用はしづらい。今まではゴミとして出していて、実は内心罪悪感を感じていた。

それでも買ったものをショッピングバッグに入れてもらっていたのは、レジで袋に入った状態で渡されるので、わざわざ「要りません、袋から出してください」と言う勇気がなかったからだ。それに、買った製品をそのまま自分のバッグに入れるとあとで万引きと間違えられやしないかという不安もあった。


(写真:久山葉子)

しかし現在では、レジで「ショッピングバッグは購入されますか?」と聞いてもらえるので、「いえ、要りません」と自信満々に自分のエコバッグを取り出すことができる。

それから3年。その時間が長いのか短いのかよくわからないが、こんなわたしでも店のビニール袋は受け取らない習性がすっかり身についた。

今後の流行はユニバーサルデザイン・バッグ?


さて、日本に帰省するとコンビニにもよく立ち寄るが(海外在住者にとっては夜中のプリンや美味しいカップ麺はこの上ない贅沢)、そんなわけで、店員さんが無駄のない動作であっという間に商品をレジ袋に入れてしまっても、「あ、袋、要りません」と言えるようになった自分に驚いている。

必要なら購入品にテープを貼ってもらい、自分のバッグにぽいっと突っ込む。お弁当などは、バッグに入れたくなければ、手の平にのせてもって帰る。コンビニから長時間歩いて食事場所に移動するというシチュエーションは少ないから、それで充分なのだ。

日本でもコンビニのレジ袋有料化を機に、まずは「必要ない物は受け取らない」という姿勢、そして「自分のエコバッグを常備する」習性がつくのではないだろうか。

そして、冒頭で触れた「男性はどうしているのか」に戻ることにもなるが、もっとあり得るのは、今後はスウェーデンでも日本でも、ユニバーサルデザインのエコバッグが増えてくるかも、ということだ。

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メンズ用エコバッグ「Regile(レジル)」。小さく畳めるようだ

男子もこぞって厨房に入るようになった昨今、まさか「男子スーパーに入らず」は流行るまい。ましてや、コンビニで買い物をするのは男性のほうが多いくらいかもしれない。エコバッグだけ女性が使うことを想定しているデザインが多く、男性にとって持ちやすいものが少ない、という現況も変わってくるはずだ。

実は先ごろの帰国で、日本では「Regile(レジル)」など、メンズ用のエコバッグが発売され始めたことを知った。

そのとおり、男だって買い物をするのだ。だから、男性でもおしゃれに持てて機能的なこういうエコバッグを日本人のセンスでデザインし、どんどん売り出せばいいのでは、と思う。それをスウェーデンに輸出したら、それこそ日本発の大ヒットアイテムになり──。日本にも自らを「エコバッグ大国」と名乗れる日が来るかもしれない。

文=久山葉子

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