新型コロナ危機から立ち直るため、旧来型の働き方をリセットする5つの方法

職業によって労働環境は千差万別。新しい働き方を模索していかなければならない (GettyImages)


10年前、このような政策は、失業者の急増に対処することに成功しています。当時よりも失業者が大規模かつ急速に増えている現在、このようなサービスをさらに拡大し、パンデミック後の回復期に備えることが必須です。


コロナ禍で医療現場で働くひとたちの存在は改めて評価されることになった (GettyImages)

4. エッセンシャルワークの再評価と仕事の質の向上


生活にもっとも欠かせないエッセンシャルワークの労働者が、低賃金かつ極めて不安定な地位にあること、特に多くの発展途上国で、公式非公式問わず、多くの労働者に基礎的な社会的保護が欠けていることが、日増しに明らかになってきています。

大恐慌と第二次世界大戦を経た後、米国では週休制など労働者たちの権利が正式に定められ、欧州では健康と収入安定に対するセーフティネットの創出、教育への投資拡大が行われました。しかし、経済の本質が変わってきたにも関わらず、法律、規制、そして賃金は労働者のニーズに追いついていませんし、多くの場合、雇用者のニーズにも追いついていないのです。危機の緊急性に対応するのと並行して、政府、企業と労働者の代表が連携して労働市場を管理する仕組みの改善に向けて、新たな歴史的転換をリードする必要があります。

5. 回復、リセット、再構築に向けた連携


雇用主、政府、労働者の国内外の連携は、危機からの回復に不可欠なものとなるでしょう。世界経済フォーラムでは2020年1月、よりよい教育、スキルそして職を2030年までに10億人に提供することを目指す「リスキリング革命」プラットホームの発足を発表しました。現在このプラットホームでは、目下の危機の中でパンデミック後の回復を見据えたベストプラクティスの交換や、再構築により教育・スキル・就労システムの改善に取り組んでいる政府、企業、教育者を支援。労働者や学生への援助に尽力しています。



パンデミック危機は、過去のシステムの不備や不平等をこれまで以上に露わにしています。その一方で、世界のリーダーの意識を、人間の生命・能力・生活という基本的価値へ再び向けさせています。パンデミック危機は私たちのもっとも重要な資産、ヒューマンキャピタル(人的資本)への投資の機会を開く入り口なのです。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Saadia Zahidi, Managing Director, World Economic Forum

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