新型コロナ危機から立ち直るため、旧来型の働き方をリセットする5つの方法

職業によって労働環境は千差万別。新しい働き方を模索していかなければならない (GettyImages)


未来に対応するための働き方


1. アップスキリング(スキル向上)とリスキリング(再訓練)の強化


近年、政府、企業そして労働者は、第四次産業革命による破壊的革新に備えるべく、リスキリング(再訓練)とアップスキリング(スキル向上)に重きを置きはじめています。昨今の労働市場崩壊を招いたのは、ロボットの発展ではなくミクロの侵入者でしたが、一方パンデミックは、結果的に様々な産業やセクターでデジタル化と自動化を加速させることが明らかになりました。

そのため、ヒューマンスキルとデジタルスキル両方のアップスキリング(スキル向上)とリスキリング(再訓練)に、新たな投資とメカニズムが必要になってきています。ロックダウンの中、デジタルでつながる労働者たちの間で、オンライン教育・トレーニングの産業に対する関心が急速に高まっていますが、欠かせないのは雇用主が労働者の再訓練に乗り出し、政府がアップスキリングやリスキリングに関わる準備を積極的に進めて経済を大きく刺激し、パンデミック後の経済への準備を労働者に十分整えさせることです。

2. 未来の仕事像の策定


世界経済フォーラムは2020年初めに「未来の仕事」像を提示しました。これらの役割は主に、人々をケアする職業、地球を支える職業、新しいテクノロジーを管理する職業、そして、製品とサービスを伝える職業。具体的には、ケアエコノミー、グリーンエコノミー、人と文化、データとAI、エンジニアリングとクラウドコンピューティング、製品開発、そして、セールス、マーケティングとコンテンツです。

パンデミックの影響で、病院、食料品店、学校など必要不可欠な職業に従事する労働者が果たす重要な役割が浮き彫りになったことから、ケアエコノミーの機会は増大すると予測されています。同様に、テクノロジー創出と管理、電子商取引、そして、より広範な知識経済の役割も成長し続けるでしょう。また、政府が経済の立て直しを図る中で、新たな成長と雇用の源もまた、グリーンエコノミー、科学・医療研究、デジタルインフラから生まれるでしょう。発展途上国では、未来の仕事への積極的で新しいアプローチがより一層求められます。なぜなら、過去のグローバル・バリューチェーンが見直され、それに伴い過去の製造中心の成長モデルもまた見直されるからです。

労働環境。世界経済フォーラムのアジェンダから
従来の働き方を改善する手立てはないのか、再考するきっかけにしたい (GettyImages)

3. 再配置と再雇用の重視


リスクに瀕した労働者や失業者に対する積極的なサポートは、企業と政府にとって欠かせないものとなるでしょう。すでに多くの企業が短期サポートの提供を始めており、一時帰休となった労働者を低需要の職から高需要の職、例えば、物流やケア産業などへ、企業や業種の枠を越えて迅速に再配置する取り組みを行っています。

これを大規模かつ積極的に行うシステムが政府によって定められている国々の労働者は、そうでない国々よりすでにかなり良好な状態にあります。しかし、政府が次の財政刺激を検討するときには、再配置と再雇用のための労働市場サービスに重点的に取り組まなければいけません。具体的には、雇用情勢に関する情報提供、雇用市場のマッチングサービス、求職支援などです。
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文=Saadia Zahidi, Managing Director, World Economic Forum

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