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2020.05.19 11:30

3カ月で215万本の売上を記録──異例の大ヒット、EXILE監修「レモンサワー」の開発秘話


──売れ方に特徴はありましたか?

ローソン:もっとも大きな特徴は購入者の63%が女性だということです。これは他のチューハイと真逆。また酒離れが進んでいる20代の男性の購入も多いのも特徴です。

ここ数年、アルコール度数の高いチューハイが人気で、その購入者は40〜50代の男性がメインでした。ただ、「LEMON SOUR SQUAD」の販売結果を見れば、普段チューハイ売り場に呼べていない層にリーチができたということになります。全体の4%がケース買いで、基本的にケースを陳列していないコンビニで、これはかなり異例、かつてないことです。

LDH:本商品の発売は、2019年の大晦日のカウントダウンライブで発表をしましたが、大掛かりなプロモーションは行っていません。ここまで売れたというのは、我々も驚きです。

ローソン:カウントダウンライブが開催された九州では、発売直後から売上が好調でした。しかも面白いことに、その高い売上がずっと続いているんです。純粋に味が気に入ってリピートしてくださっているんだと思います。

宝酒造:ずっとチューハイを作ってきた我々としても、自信を持って紹介できる素晴らしい商品ができたと感じています。これまでの弊社の商品とは開発コンセプトから全く違いました。弊社だけでは作れない商品ができて嬉しく思っています。

LDH流エンタメづくりの“こだわり”をレモンサワーにも


ローソン:LDHさんとのコラボと知らずに手にとって、リピートしているお客様も多いと思います。コラボ商品とは、成分表の上に小さく書いているだけですしね。

LDH:缶のデザインにも相当こだわったので、それも宝酒造さんをずいぶん困らせたと思います(笑)。このパッケージはDJ DARUMAがデザインしました。彼は、DJ MAKIDAI、VERBALとのユニット『PKCZ(ピーケーシーズ)』のメンバーで、アパレルブランド『FULL-BK』のデザイナーでもあり、デザインに関するこだわりは非常に強い。彼が描くLDHのレモンサワーの世界観を、レモンサワーの缶で表現しています。

宝酒造:このイエローを出すのは大変でした。アルミ缶の上に乗せると、いただいたデザインデータの色味とどうしても変わってしまうんです。そのため、缶を一度白く塗り、その上にイエローを乗せました。コストも制作時間も余分にかかる工程は、通常だと行いません。

また、デザインも通常では「レモンのシズル感」を感じさせるような絵柄を盛り込みますが、「LEMON SOUR SQUAD」は文字の中心に構成されたシンプルなデザイン。結果的に存在感のある商品ができたと思います。

LDH:この商品開発は、ライブの演出や楽曲制作と同じ様に、LDHのこだわりをとことん詰め込んだものです。いつもどおり細部にまで妥協のないものづくりを行いました。

宝酒造:営業部門は、発売直前までパッケージデザインが決まらなくてヒヤヒヤしていました。「またダメか…」って。「色変わらないじゃん…」って思ったこともありましたよ(笑)。ここまでこだわるのかと驚かされましたが、LDHさんの本気の姿勢に応えなければとがんばりました。

ローソン:そうですね。我々も、LDHさんの夢や思いや感謝を伝えたいという熱い想いを感じていたので、発売時期や商品価格などがヒットのセオリーと違っても、商売を度外視で商品化したいと思ったんです。その結果が異例の大ヒットというのは非常に嬉しいですね。
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構成=井澤梓 写真=小田駿一

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