「インチキ」「改ざん」を防ぐ技術
松浦:ではなぜそんなに用途があるのか。それはやはり、「タイムスタンプ」だからなんですよ。
たとえば「送金」という行為がある時に、「誰が誰にいつ何円」送ったのかが正確に、時系列で記録されていて、しかもそのシステムがスタートした一番最初の値、すなわち「それぞれのお財布の中に何円ずつあったか」が改ざんできない形で残っていれば、仮想通貨が実現できるんです。
場合によってはあなた方の学歴管理だってできてしまうかもしれない。今後、たとえばあなた方は、おそらく進路について色々悩んで、色々なところに志願をして、チャレンジしていくでしょう。その時、おそらくは願書を書くだろうし、成績表や調査書、あるいは推薦書が必要であれば、それを申請したり、けっこう面倒くさい手続きが重なるわけです。ですが、ブロックチェーンを使えばそういうこともある程度自動化できるし、インチキもやりづらくなる。
たとえば大学や大学院の人材の場合、国をまたいで動くことが当たり前なので、高いレベルの研究機関や教育機関の教員の間では「どこの国のどういう推薦はどのくらい信頼できるんだ」という情報を持っています。でもそれも、情報の出所や、関係者の行動のひとつひとつをきっちりと記録に残しておくことができれば、インチキは相当やりづらくなるわけです。
──人間が直接関わらない、「もの」の流通の例でも説明しましょうか。
高級酒類やコーヒー、希少なスイーツ、ある種の農産物など、「買い手の手に届くプロセス」が記録として正確に付帯しているかどうかで価値がまったく違ってくる製品がありますよね。誰がどういう風に作ったか、流通段階でどのくらいしっかり保管されて、どの程度丁寧に運ばれたものかが価値に大きく影響するようなマニアックな製品。
そして逆に、そういう商品に関しては、製造工程や流通プロセスについて「インチキ」の情報をつけようとする人たちもいる。そういうインチキを許さず、きっちり管理をしようとする時にブロックチェーンが活躍します。
また、ブロックチェーンを使えば「正当にビジネスをしている」人も特定できるから、彼らが正当な対価が得られるようにする、といった応用もけっこう進んでいるんです。
吉本:ありがとうございます。では、ブロックチェーンの応用のひとつである「ビットコイン」について、わかりやすく説明していただけますか。