入学後は、東大で45年の歴史を持つ書評誌「ひろば」の編集長、「ドラゴン桜2」に情報提供する東大生団体「東龍門」のリーダーを務め、高校生に勉強法を教える「リアルドラゴン桜プロジェクト」も行っている。また現在は、コロナウイルスで休校になり学校に行けなくなった学生のために現役東大生が生配信で授業を行う「スマホ学園」も運営する。
著書『現役東大生が選ぶ いま読むべき100冊』(2019年、光文社刊)の「前書き」で、西岡氏は以下のように書いている。
「僕はかつて、偏差値35しかありませんでした。高校3年生の模試の成績が偏差値35で、英語の成績が3点、数学の成績が18点でした。そんな僕が東大に合格できたのは、「本」があったからです。(中略)この本ではみなさんに、『自分の世界を変えるための本』をご紹介していきます。『読むと世界が変わる本』ではありません。『自分の世界を変えるための本』です。つまり、みなさん一人一人が『活用するための本』をご紹介したいのです」
ここではそんな本書から、長びく休校期間に子どもに読ませたい、子どもと読みたい本を紹介する。第1回は「世界の今を知るための政治・経済本」10冊だ。
1. 世界一の経済大国の「底辺」
『ルポ 貧困大国アメリカ』堤未果著
本にはどんな価値があるのか? 僕はよく、そんなことを疑問に思います。ネットに繋げばいくらでも情報が得られるし、テレビをつければ映像付きで世界のことを教えてくれる。そんな中で、本というメディアには一体どのような価値があるのでしょうか?
僕は、その結論を、この『ルポ 貧困大国アメリカ』で知ることができた気がしてなりません。
2. 複数の視点で地方問題を見る
『縮小都市の政治学』加茂利男、徳久恭子編
今の日本を知る上で読まなければならない本のジャンルとして、無視できないのが「地方創生」という分野です。高齢化社会が深刻化して、東京に人口が集まりすぎて地方に人が集まらなくなっている今の日本において、地域経済をどう活性化させるのか? これは何も日本に限った話ではなく、これからどこの世界の人も直面するであろう課題です。
そんな中で僕が、「この本を読んでおくと、さまざまな視点でものを考えられるな」と思った入門書が、この『縮小都市の政治学』です。