新型コロナの恐怖。NYタイムズが伝える「子供の心の守り方」

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新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月は98%を超える小中学校が休校となった。そして現在、全国的に休校期間の延長が行われている。長引く緊張状態は、子どもたちの「心」にこそ、大きな揺らぎや不安を生じせしめているに違いない。

国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが先月末に実施した「緊急子どもアンケート」でも、自分や家族や友だちなどが感染しないか、マスクや消毒液の不足がどうなるのか、勉強についていけるか、運動不足で体力が低下しないか、友だちといつまで会えないのかなどを不安に思う結果が出ている。卒業生には、友だちとの別れが十分にできなかったことを悔やむ心情もあった。

親として、子どもたちの「心のケア」をどうするべきか。それは長期戦の可能性が大きくなる今後、われわれ大人たちにとっての大きな課題になっていくはずだ。

では世界では、とくに「1日の死者2000人、感染者は計50万人」を超した(4月12日現在)米国では、子どもたちに新型コロナウイルスをどのように教えようとしているのだろう。

ニューヨーク・タイムズ紙が小児科医、心理学者、小児感染症専門医、安全対策専門家に取材している。3月17日の記事「新型コロナを子供にどう伝えるか」から以下、翻訳転載する。(Forbes JAPAN編集部)


(Text by Jessica Grose)

新型コロナウイルスの話は、テレビの記者会見や同級生との会話から、子供たちの耳にも届いている。海外旅行帰りの親戚が隔離されたり、知り合いが感染したりした子供もいる。「診察に来る子供たちはおびえています」と、シカゴのアン&ロバート・H・ルーリー小児病院の主任担当医、ニア・ハードギャリス医師は言う。

そんな子供に、新型コロナウイルスについて何を、どう話せばいいだろう。私たちは小児科医、2人の心理学者、小児感染症専門医、安全対策専門家と話して、役に立つヒントをもらった。

どこまで子供が知っているかを把握する


ハードギャリス医師は、新型コロナウイルスについてどんなことを聞いているか、子供に尋ねるところから始めるのがいいと言う。世界中で死者が出ていて自分たちのところにもいずれ死に神が来ると聞かされたのか、インフルエンザみたいなものだと教えられたのかで、話はまったく変わってくる。

臨床心理学者のアビゲイル・ゲワーツ教授(ミネソタ大学)によれば、子供が6歳未満で、まだ新型コロナウイルスのことを知らないなら、いたずらに不安を与えるから、あえて触れないほうがよいという。
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翻訳・編集=門脇弘典・S.K.Y.パブリッシング 構成=石井節子

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