衛生の大切さを。歌やゲームをうまく使う
ハッセンフェルド小児病院(ニューヨーク大学ランゴン医療センター内)の小児感染症専門医、レベッカ・ペレット・マダン医師が推奨するのは、20秒以上の手洗いだ。食事の前後やトイレの後、帰宅時のほか、鼻をかんだり指を口に入れたりするたびに手を洗う習慣をつけさせよう。「ハッピーバースデー」の歌を2回繰り返すと時間の目安になる。洗った手をしっかり乾かすのも忘れずに。
マダン医師は、幼い子供にアルコール消毒液は不向きかもしれないと言う。ウイルスを退治するには消毒液を完全に揮発させなければならないが、待ちきれずにおもちゃや他の子供に触ってしまう恐れがある。手洗い優先は子供に限らずあらゆる年齢層に言えることで、アルコール消毒液は手洗いできないときの次善の策と覚えておこう。
手洗いにゲーム性を持たせるのがおすすめとのアドバイスが複数あった。コロンビア大学ジャーナリズム大学院で戦争報道について教えているジュディス・マトロフ講師は、「勝ち負けをつけるのもいい」と言う。誰が一番長く洗っていられるか、誰が一番大きな泡を作れるかなどを子供と競ってみてはどうだろう。
鼻をほじる癖がある子供には、「先週、友達が病気になったのを覚えてる? 病気にならない人はいないけど、鼻をほじると、指についた鼻くそからウイルスが友達にうつるかもしれないよ」などと話してやるのがいいとマダン医師はアドバイスする。ウイルスの仕組みを教えるなら、ネットフリックスのアニメシリーズ「ストーリーボットにきいてみよう」の「なぜカゼをひくの?」というお話も子供向けでわかりやすいそうだ。
休校をポジティブに捉える
「悪い虫がたくさん出てきたから、学校がきれいに掃除されるまで家で待つんだよ」などと説明するとよい、とポルトラック医師は言う。休校は怖いことではなく、家でのんびり楽しめるポジティブな時間だと伝えよう。特に幼い子供ほど、そう言ってやる必要がある。マトロフ講師は、今後の休校に備え、今のうちに新しいゲームや本、図画工作の材料を買っておくよう勧めている。
上海在住のレベッカ・カンター記者は、新型コロナウイルス対策で家に閉じこもらなければならなくなったら、できるだけ規則正しい生活を送るべきだと記事で訴えた。ほかの専門家も、規則正しい生活に加え、子供には十分な運動をさせたほうがいいとアドバイスしてくれた。マトロフ講師は、自宅待機中に日記を書くことを提案している。子供が感じたことや体験したことを文章や絵にすれば気がまぎれるし、不安を和らげる効果もある。
専門家からの最後のアドバイスは、冷静さを失わず、できるだけ子供と接する時間を楽しむことだという。カンター記者も次のように書いている。「邪魔が入らないのだから、一緒にいられる今を大切にしなければという想いが湧いてきた。ええ、必ずそうするわ。しばらくトイレで1人の時間を味わったあとに」
(c) 2020 The New York Times