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2020.05.05 11:30

都会育ちの私がターシャ・テューダーのように暮らしてみた #ポジティブチャレンジ

Forbes JAPAN #ポジティブチャレンジ (サムネイルデザイン=高田尚弥)

Forbes JAPAN #ポジティブチャレンジ (サムネイルデザイン=高田尚弥)

Forbes JAPAN Web編集部がゴールデンウィーク中におうち時間の楽しみ方を実践する「#ポジティブチャレンジ」。4回目、最終日のテーマは「工夫する」。インターン生の河村優が担当します。

「ターシャ・テューダーのように暮らしたい!」何度そう思ったことだろう。ターシャ・テューダーとは、絵本作家として華々しいキャリアを築き、園芸家としても、地上の楽園のようなガーデナー憧れの庭を作り続けた女性。アメリカの山奥で昔風の服を着て、浮世離れした生活を送る老婆の姿を見たことがある人も多いのではないでしょうか。2008年に92歳で亡くなってからも、彼女の慎ましくも豊かな生き方は世界中の人々を魅了し続けています。

ターシャ的な生活への憧れは長い


私のターシャ的な暮らしへの憧れ歴は長く、2歳の誕生日に彼女の代表作である「コーギビルの村まつり」を祖母からプレゼントされ、何年もの間繰り返し読んでいました。もちろん年少の頃は、作者のことなど考えもしませんでしたが、ガーデニング好きの父の影響もあり、私がターシャの名を知るには時間がかかりませんでした。

納屋で飼う山羊の乳からチーズを作り、機織りをして服をあつらえ、午後4時半のお茶の時間を欠かさないターシャ。子どもの私はその生活のすごさをあまりわかっていなかったように思うけれど、彼女の実生活をもとにして描かれる絵本からは、その生活の温かみがにじみ出ているようで、素朴ながら色鮮やかで、大好きでした。

私がターシャに憧れる理由の一つは、自分が生粋の都会っ子だからだと思う。私は東京生まれ、東京育ち。ターシャ好きの父も都会っ子だし、思えばターシャ・テューダー自身が都会っ子。ボストンの名家に生まれ、パーティーがよく行われるような環境だったといいます。自身の少女時代を回想して「華やかな世界に馴染めなかったの。私には農場のほうが魅力的でいつも牛を欲しがっていたの」と語るターシャ。

何不自由ない環境を与えられるが、なぜか気忙しいより、自分の力で自分の好きなように、時間も物もつくり出す生き方を彼女は好んだのでしょう。彼女の著書『ターシャ・テューダーの言葉2 楽しみは創り出せるものよ』(メディアファクトリー)にはこう書かれています。

「わたしもずっと休みなく働いてきました── 欲しい物を手に入れるために。でも、よく見ると、この世界には、夢や希望、不思議なこと、楽しいこと、よい物、美しい物がいっぱいです。(中略)働くことと楽しむことの両方を、バランスよくしなければと、わたしは思います」

絵本作家として忙しい日々を何十年も送ってきた彼女だからこそ説得力のある言葉です。忙しいことにかこつけて豊かさを失わないようにと、工夫する姿勢に憧れます。

そして今の私はというと、全くターシャ的生活とは程遠い。外出自粛するようになってから1カ月以上経ちますが、やることと言えばテレビ、Netflix、スマートフォン、たまの料理と読書くらいのもの。この長いおうち時間をいかに楽しく過ごせるか、考えはするものの、自分のやりたい遊びを見つけることすらできない創造性のなさにびっくり。さらに考えついたとしても、目の前のスマホから離れられず実行できない。全く豊かではありません。

ターシャ・テューダー
夏は広大な庭を裸足で歩いて世話するターシャですが、長い冬は5カ月あまりも全く外に出ません。暖炉とろうそくの灯りに囲まれ、家の中でも彼女は満足そうに見えます。

現代にはこういう人は意外と多いのではないでしょうか。急に家で過ごす時間ができた途端何をしていいかわからず、メリハリのない毎日を楽しいと思えない。そして精神的に疲れてしまう。

そして私はまたこう思うのです。「ターシャ・テューダーのように生きたい!」自分を楽しませる方法を知らないまま生きていくなんて嫌だ。自分の手で自分の好きな時間をつくり出せる人になりたい。

GWの長いおうち時間を、自分を楽しませる術を見つける時間にするのも策かもしれない。普段やる機会のないことに挑戦してみると、時間を潰せるし、今後自分の楽しみが増えていくことは決して無駄にはなるまい。私は興味本位から、ろうそくを自分で作ってみました。
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文=河村優

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