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患者を往診する佐々木淳医師(左)、小田駿一撮影

新型コロナウイルスは、高齢者や基礎疾患のある患者の重症化率、致死率が高いことが知られている。ゴールデンウィーク(GW)に離れて暮らす高齢の家族に会いたいと思う人もいるだろうが、やはり会いに行くべきではないという。

では、家族として何ができるのか。在宅医療クリニックを運営する佐々木淳医師に新型コロナウイルスの感染拡大に備える現場の様子と家族にお願いしたいことを聞いた(インタビューは4月21日に実施)。

──新型コロナウイルスによって、在宅医療にはどのような影響が出ていますか。

我々の現場ではまだ大きな問題は起きていませんが、我々の患者はみな高齢で持病があるため、感染するとかなりの確率で重症化してしまうでしょう。80歳、90歳で重症化すると、生きて帰ってくるのは簡単ではありません。

そこで、我々は感染させないことに注力をしています。我々がみている患者は1人で外出できないので、彼らと接する我々や介護専門職、家族が持ち込まないことが重要です。


Forbes JAPAN 2017年10月号の表紙を飾った佐々木淳医師は、在宅診療を専門とする医療法人、悠翔会(東京都千代田区)を2006年に設立。非常勤を含め80人の医師が所属する13の拠点(6月に15拠点になる予定)を通じ、約5000人の通院困難な高齢の患者向けに、24時間体制の在宅総合診療を行なっている。在宅診療では国内有数の規模のクリニックだ。

感染防止のための手段は、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)、患者との接触を避けるということです。高齢者の医療介護業界では2月下旬から、家族との面談を取りやめたり、サービスを絞るなどの措置が始まりました。もともと社会的に孤立しがちな高齢の患者にとって、家族との面談や、週に何回かいけるデイサービスは、数少ない社会とのつながりです。

それを制限することで、高齢者はさらに孤立を深め、身体機能、認知機能、生活の質が低下しています。とはいえ、新型コロナウイルスにかかってしまうと命の危機になる。とても歯がゆく、辛い状況です。

──マスクや医療防護具の不足が報じられています。現場で十分な感染防止策はできていますか。

悠翔会では、毎日平均で30台の往診車が走っており、1台につき医師、看護師、アシスタントの3人が乗っています。交換用も含めて、サージカルマスクを1人が1日2枚使うとして、それだけで1カ月最低約4000枚が必要です。また、喀痰吸引や気管操作をする場合は、N95という高機能のマスクを使いますが、N95は救急病院も含めて、入手が非常に困難です。

悠翔会では、海外の製造業社に直接コンタクトをとって、万単位でマスクを直輸入することにしました。本当は国内で手に届くところにないと困るのですが、N95もサージカルマスクも国内の問屋にオーダーしても手に入りません。

構成=成相通子、写真=小田駿一

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