学校に馴染めなかった少年が、業界を震撼させる映像クリエイターになるまで

ゲストプレゼンターの一人として登壇した、当時19歳だったナガフジリクさん


「初めて仕事の依頼が来た時は本当にうれしかった。そして一番の思い出はやっぱり『VC Live』ですね。一番憧れのアーティスト、Andrew氏とまさか同じステージに立てるとはという感じで……。イベント前の顔合わせの場で、彼と普通に話せたのも忘れられない。2019年は僕にとって飛躍の年でした」


(c) 株式会社フラッシュバックジャパン / Video Copilot

CGアーティスト集団「UNDEFINED」結成


2020年3月、ナガフジさんはインターネット上で仲良くなったクリエイターと一緒に「UNDEFINED」という映像チームを結成した。VFXクリエイターからモーションデザイン、グラフィックデザイナーまで、色々なスキルを持つ人たちが集まった映像クリエイター集団だ。そんな出会いをもたらしたのはSNS。インターネット上で活動している同世代のクリエイターのコミュニティで、情報交換したり、クリエイティブにまつわる話をしたりする中で仲良くなっていった。



「17歳の頃に、映像を作っている仲間と出会いました。初めて話が合うというか、情報交換もできて高めあえる存在だと感じてます。コミュニケーションが得意な人を介して、みんなが得意な仕事に集中できる環境にできたら、もっと色々できるんじゃないかなって思ってます」

ずっと一人で映像制作と向き合ってきた彼に、助け合い、刺激を受け、高め合える仲間ができた。仕事を受ける中で、相手の気持ちや求めているものが上手く掴めず、何度も修正や作り直しを重ね、ストレスを感じていた日々。彼にとってずっと最大の課題であり続けた「コミュニケーション」という足りないピースも、これからは仲間と一緒に補い合うことができる。まだ発表前のチーム発足の話を筆者に打ち明けてくれた時に、ふと覗かせた彼の嬉しそうな顔が印象的だった。

「『もしも映像を作ってなかったら』なんて考えたこともないけど、映像を作る道を歩み始めてからの1番の変化は、理解してくれる人が周りに増えたこと。映像を作っていく中で出会えた人たちは、僕にとってとても大きい存在だと思っています」


(c) nagafujiriku

クリエイティブの世界はアウトプットがすべて。結果さえ出せればそれ以外は比較的自由だ。どこに住んでいても、学校に行ってなくても、キャリアが浅くても、そして不得意なことがあったとしても。一見ハンディキャップになりそうなことも、テクノロジーやアイデアを駆使して上手く補えば、アウトプット次第で誰もが活躍できる可能性を秘めている。

できないままの自分を受け入れ、好きなものを作り続け、信頼できる仲間と新たな道を歩み始めたナガフジさん。彼の目に映る世界には、一体どんな色彩と音響がうごめいているのだろうか。これからも進化し続ける彼の映像作品に、そして、それを目撃するたくさんの人が心踊らされる近い未来に、期待せずにはいられない。

連載:小さな声から見えてくる、ノンフィクションな話
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文=水嶋奈津子

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