学校に馴染めなかった少年が、業界を震撼させる映像クリエイターになるまで

ゲストプレゼンターの一人として登壇した、当時19歳だったナガフジリクさん


処女作はお楽しみ会用の特撮映画


ナガフジさんが初めて映像を作ったのは小学校6年生の時だった。卒業前に催されるお楽しみ会の出し物として、数人の友達と短編映画を作ることになった。

「両親から借りたデジタルカメラで撮影して、クオリティはいかにも小学生って感じの特撮のパロディを作りました。まだその時は、VFXとか3DCGとかは知らなかったのですが、実写で色々撮影していく中で、映像制作にどんどんはまっていきました」

その頃からすでに、ナガフジさんは自分のユーチューブアカウントを作り、自分で撮影・編集した映像をネット上にアップしていた。初めのうちは個人情報の問題など様々なリスクから、SNSをやることを親から止められたこともあった。しかし、リテラシーが足りてないと素直に認めた彼は両親にきちんと相談をして、ルールを決めながらユーチューブやツイッターを使うようになった。

「一人でも映画のような作品が作れる」VFXにハマった理由


場面緘黙症であることを公言している彼は、幼い頃からすでにコミュニケーションに難しさを感じていた。

「自分が人と違うなっていうのは、幼稚園くらいの頃から感じていました。両親は基本的に自由にさせてくれてましたね。学校に行ってなかった時期も、無理やり行かされたりとかもなくて、そういう意味では恵まれていたと思います」


(c) nagafujiriku

「小・中学校ではあまり気の合う気の合う友達もできなくて、ずっと一人で映像を作ってました。本格的な編集ソフトを使うようになったのが、中学2年生の時ですね。色々なスキルを学ぶために、チュートリアル動画をたくさん見てたんです。それまでは映画ってたくさんの人が集まって、大きな予算をかけて作っていくものだと思ってたんですけど、それを見た時に、『一人でも、自分のカメラで撮影して、これだけのものが作れるんだ』ってものすごい衝撃を受けました」


(c) 株式会社フラッシュバックジャパン / Video Copilot

1人でも映画のような作品が作れる。そんな可能性に魅せられた彼は、さらにVFXの世界に没入していく。部屋にはパソコンと撮影機材のみ。集中力を遮るものがないシンプルな自分の部屋で、現実と想像のイメージを巧みに合わせて、誰も見たことのないビジュアルを創り出していく。
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文=水嶋奈津子

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