学校に馴染めなかった少年が、業界を震撼させる映像クリエイターになるまで

ゲストプレゼンターの一人として登壇した、当時19歳だったナガフジリクさん

架空の世界であるとわかっていても、そのリアルな質感と独特な世界観に圧倒されてしまう3DCGの映像美。まるでハリウッド映画のワンシーンのような映像を作ったのは、北海道に住みながら独学で映像制作に励む、20歳の映像クリエイターだ。

映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を始めとする数々の大作に携わり、映像業界の第一線で活躍している アーティスト、Andrew Kramer氏が来日公演した『VIDEO COPILOT LIVE! JAPAN 2019』(以下『VC Live』)。そのゲストプレゼンターの一人として、当時19歳だったナガフジリクさんが登壇した。


(c) 株式会社フラッシュバックジャパン / Video Copilot (映像編集ソフトウェア“Adobe After Effects”のプラグイン開発や映像制作に携わる企業かつ映像のプロフェッショナル集団。映像編集のノウハウを教えるリュートリアル動画も配信している)

ナガフジさんは講演の冒頭で、自身の「場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)」について話し始めた。場面緘黙症とは、家では話せるのに学校などの特定の場面だけ話せなくなってしまう症状のことだ。幼少期に発症することの多い不安症状のひとつと言われている。そのため、『VC Live』でも大勢の前で話すことは難しいと考えた彼は、事前に自動音声化ソフトを使って全ての講演内容の音源を作り、その流れで映像のショーケースも紹介するという、完璧なプログラムを披露した。

ナガフジさんは、2019年に実施された才能発掘オーディション「GEMSTONE 第1回テーマ『ゴジラ』」(主催:東宝・ALPHABOAT)に入賞した。VFX(3DCGを使って実際の映像と組み合わせて加工する映像表現)が欠かせないSF映画の中で、『ゴジラ』は最も有名な邦画作品のひとつと言えるだろう。その最高峰の製作陣によるオーディションにおいて、無名の青年の作品が目に止まったのである。


(c) TOHO CO., LTD. / ALPHABOAT

現在20歳という若さで業界を震撼させるほどクオリティの高い3DCGを作り続けている彼は、どのようにして映像クリエイターとしての道を切り開いてきたのだろうか。ナガフジリクさんに話を聞いた。
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文=水嶋奈津子

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